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偏差値70で甲子園春夏43回出場…名門公立校でも選手集めに四苦八苦「県内トップ層が県外常連校に流出」「打開策は“進学実績”」静岡高のいま
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間淳Jun Aida
photograph byKyodo News
posted2025/07/13 06:00

2021年夏の甲子園での静岡高校。名門公立校はこの大会以来、夏の大舞台からは遠ざかっている
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県外選手でチームを構成することへの賛否を問うものではなく、私立は全国各地の有望選手を集められる。県外から選手を集められるかどうか――。この1点において、公立と私立の立場は決定的に異なる。実際、静岡県の強豪私立には、神奈川県や愛知県をはじめとする県外出身の選手が多数在籍する。
“県外流出”を防ぐために「進学実績」も重要なワケ
静岡県には「学校裁量枠」という制度がある。
運動文化活動などに優れた生徒を高校独自の裁量で入学させる仕組みだが、対象は静岡県内の中学生となる。3年前から県外の裁量枠が導入されたとは言え、その枠が静岡高校には1人分しかない。静岡高校の野球部は1学年10人が裁量枠で、そのうち1人は2年前から県外出身者に活用している。つまり、地域密着が公立校の特徴であると同時に、勝ち抜く上での制約にもなっている。
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池田監督は、こう話す。
「私立には以前から県外出身の選手がいました。ただ、今は県外出身選手のレベルが上がり、人数も増えている印象です。それから、静岡県内のトップ層が県外の甲子園常連校に進学するケースも増えていると感じています」
県外から選手を集められない状況は、公立高校にとって今も昔も変わらない。ただ、県内トップ層の“県外流出”は加速している印象が強い。その中で「静高」を進路先として選んでもらうためには、2つの要素――「甲子園で勝てるチーム作り」と「進学実績」があるという。〈つづく〉

