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ラグビー界に警鐘「このままでは日本代表は弱くなる」元代表SH田中史朗が提言する“W杯キャップ”の導入とは?「“ONE TEAM”とは何だったのか」 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2025/07/10 11:01

ラグビー界に警鐘「このままでは日本代表は弱くなる」元代表SH田中史朗が提言する“W杯キャップ”の導入とは?「“ONE TEAM”とは何だったのか」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

元ラグビー日本代表・田中史朗氏が疑問視するラグビーリーグワンのカテゴリー改正。日本代表の強化にも影響を及ぼしかねない、と危惧している

「たとえば、レメキは南半球のスーパーラグビーでプレーできる実力もありましたが、日本でプレーすることを選択して、家族と離れ、単身赴任でプレーしていました。それもW杯でプレーしたいという気持ちが強かったからです。彼は本当に練習をさぼらないし、日本代表でなかなか使ってもらえなくても、腐らずにチームのために頑張ってくれた功労者です。そんな彼がA−2に分類されてしまうのは、リスペクトに欠ける気がするんですよ。甘いと言われるかもしれませんが、それが僕の気持ちです」

 この制度が実施されれば、各チームの「雇用」が変わる可能性がある。制限が設けられるA−2の選手と契約するよりも、A−1の資格を持つ選手たちと契約を結ぶことが増える可能性はある。

リーグワンは“柔軟な姿勢”を強調

 今回の改正にあたってリーグワンの東海林一専務理事は、記者会見で制度設計を次のように説明した。

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「代表キャップ30以上がカテゴリA−1になれる優遇措置について、さらに考えるべきところ、動かせるところがあるのかないのか、を最終的に検討している状況です」

「決してA−2の選手の権利を過度に奪うものではなく、十分な出場機会を得られることまでを考慮して制度設計していることは、ご理解をいただかなければいけないし、必要であればさらにご説明をさせていただこうと思っています」

 あらゆる要素を検討しての制度変更であること、そしてこれからもよりよい設計のためには柔軟な姿勢であることを示した。

 それでも、現状で最適解を見つけるのは難しいだろう。それぞれの立場によって、意見は異なるからだ。代表の経験者として田中はこんな提言をする。

【次ページ】 「“A−1”を獲得するために、いったい何年かかるのか」

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