魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER
「わずか2年で横綱昇進を許してしまって…他の力士ももっと稽古して」元大関・魁皇が本音で語る、“強すぎる”大の里「192cm191kg、あの体を見てください(笑)」
text by

浅香山博之Hiroyuki Asakayama
photograph byJIJI PRESS
posted2025/05/31 11:03

大相撲夏場所で2場所連続4度目の優勝。史上最速13場所で新横綱に昇進した大の里(24歳)
性格も真面目だし、強くなるための生活をしているのが見ていてわかるんです。ウクライナから強い気持ちを持って相撲界に来ている。師匠の安治川親方(元関脇安美錦)がそういう育て方をしているんですよ。私としては師匠も褒めてあげたい(笑)。
安青錦は、場所前にうちの部屋に出稽古に来てくれ、若い衆に胸を出してくれました。引かれても付いて行って前に落ちないし、突き起こされても体が起きない。バネもあって、得意技としての出し投げや、足技も持っているんです。何より”攻めよう”という姿勢がいいんですよね。来場所は早くも新三役の可能性があり、これからが楽しみです。上位陣にとっても脅威的な存在になるんじゃないかな。
あと、面白い存在といえば、「千秋楽に勝てば三賞」だったのに、惜しくも逃してしまった朝紅龍でしょうか。けっして大きくない体ですが、上半身の筋肉がすごくてね。ユニークで個性的な力士が多い高砂系だから、もちろんキャラも面白い(笑)。一度、幕内の壁に跳ね返されてはいたものの、すぐに再入幕して今場所は二桁勝利でした。上半身がたくまし過ぎるから、それに比べて下半身が物足りなく思えるでしょうが、そんなことはない。相撲は下半身が基本です。朝紅龍もちゃんと下半身をも鍛えているからこそ、あんな相撲が取れるんですよ。小柄ながら、しっかり当たってから攻めてスピード感もある相撲です。きっと宇良や翔猿のように人気が出ると思いますね。
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今年は相撲協会が100周年を迎える年ですが、早くも東西に横綱が揃ってめでたい限りです。みんな、今場所もお疲れさま。6月は巡業がないけれど、ゆっくり休んで体をケアし、稽古して。ファンの皆さまも来場所を楽しみにしていてください!
(構成=佐藤祥子)

