魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER

「わずか2年で横綱昇進を許してしまって…他の力士ももっと稽古して」元大関・魁皇が本音で語る、“強すぎる”大の里「192cm191kg、あの体を見てください(笑)」

posted2025/05/31 11:03

 
「わずか2年で横綱昇進を許してしまって…他の力士ももっと稽古して」元大関・魁皇が本音で語る、“強すぎる”大の里「192cm191kg、あの体を見てください(笑)」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

大相撲夏場所で2場所連続4度目の優勝。史上最速13場所で新横綱に昇進した大の里(24歳)

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浅香山博之

浅香山博之Hiroyuki Asakayama

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元大関・魁皇、浅香山親方が解説する夏場所。デビューからわずか2年、史上最速13場所で横綱に昇進した大の里(24歳)について聞いた。

◆◆◆

 5月30日、雨の中明治神宮奉納の手数入り(土俵入り)を終え、第75代横綱の大の里が誕生しました。5月夏場所での大の里は、圧倒する相撲が多かったですね。前に出る圧力が増して、相手が攻める前に根こそぎ持っていってしまう感じ。強さは群を抜いていますよ。入門からまだ2年の若者の昇進をいとも簡単に許してしまって、周りが不甲斐ないといわれても仕方ないけれど、あの体を見てくださいよ。192cm191kgで、もう体の作りからして違うんですから(笑)。

 でも、もともとのポテンシャルや持って生まれた素質があったとしても、それを稽古で磨いて生かしていかなきゃならない。せっかくの素質を持っていても開花できないお相撲サンもいますから。その点、短期間のなかで師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)を相手に稽古を積んでの、今回の横綱昇進です。上位陣での面白い相撲も増えてきていますが、これからは周囲も「大の里に勝つぞ!」との強い思いを持って、今までの稽古以上にさらに稽古を重ねてほしいものです。

「賛否両論でも…豊昇龍は強い」

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 横綱豊昇龍は、千秋楽に大の里の全勝優勝を阻み、先輩横綱の意地を見せましたね。昇進時の成績に賛否両論ありましたが、やはりここ一番に力を出せて、強い。これ、精神力の強さなんですよね。もちろん気持ちだけで勝てるわけではないですが、最終的には気持ちがモノをいうんです。

 大関琴櫻ですが8勝7敗の成績で終わりました。もっと自信を持って相撲を取ればいいんですよ。昨年11月の九州場所で優勝しましたし、その時の相撲を想い出してね。豊昇龍や大の里に先を越されて刺激を受けなきゃダメです。心と体をもっと鍛えれば、横綱もすぐですよ? 体を鍛えても気持ちが付いてこなければ難しいし、「心技体」とはよく言ったものです。私なんか、大関時代は毎場所、気持ちも体もギリギリでしたけれど(笑)。きっと稽古は、じゅうぶんしているはずなんです。でも、自分の現役時代を振り返っても、地方場所など、ちょっとした環境の変化で崩れてしまう。そこはどんなシチュエーションでも”ブレない強さ”がなきゃいけないんですよね。

親方がホメる“2人の力士”

 前頭9枚目の地位で11勝4敗の好成績を挙げ、三賞受賞した安青錦。これはいい!

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