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「流暢なイタリア語でテレビ出演」に絶賛の声…“10年前の石川祐希”を知る記者が驚いたペルージャでの変化とは?「あの頃はぎこちなかったけど…」
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田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/04/11 17:03

地元テレビ局の番組にゲスト出演する石川祐希。流暢なイタリア語は現地を人を驚かせた
何より驚かされたのはペルージャでの知名度と人気の高さだ。
イタリアでは試合後に観客がコートの周囲をズラリと囲み、選手が写真撮影やサインに応じる文化がある。イタリア代表でも主将を務めるシモーネ・ジャネッリを筆頭に各国の代表チームで主軸を担う選手ばかりが揃うが、ファンサービスの際に警備員や広報担当者が横に立つのは石川だけだ。
日本から駆けつける熱心なファンは多いが、「卒業旅行で来た」という男子大学生3人組に出会ったのは近年の日本代表の躍進が影響しているのだろう。現地に赴く日本メディアの数も当たり前のように増え、試合を終えた石川を数人の記者が囲むのも日常の光景になった。その輪に加わると、待ちきれないイタリアの少年たちが精一杯、手を伸ばして「ユーキ!ユーキ!」とサインを求めている。
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日本バレー界の歴史をたどっても、代表チームの主軸を担いながら、海外のトップクラブで長年活躍してきた選手はいない。それだけでも十分過ぎる偉業なのだが、石川の目線は「これから」に向けられていた。
「かっこいいと言われることも大事」
「10年やってきたから今がある、というよりも、10年の積み重ねでここまで来た、という感覚で、来年も同じように目標を立ててクリアするだけ。子どもたちや将来バレーボール選手になりたいという子に目指したいと思われる存在であるために、まずはバレーボールがうまくて強い選手であること。加えて、どれだけ稼いでいるとか、ビジュアルやパッション的な部分も含めて『かっこいい』と言われることも大事だと思うので、そういう意味でも目指したいと思われるバレー選手、アスリートであり続けたいです」
まもなく、新たな日本代表も始動する。
「呼ばれればいつでも行く気持ちでいるし、日本代表という注目される場所に居続けられるのは価値があること。代表は間違いなく成長できる場所なので、そのチャンスを僕は逃したくないです」
語学力の向上も、プレーの成長も、満足することなく貪欲に。これからの10年を石川祐希はどう歩むのか。また新たな楽しみが増えた。
