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「結構勇気がいる指名だったんじゃないかな」ドラフト最下位でも…DeNA梶原昂希&山本祐大が語る下克上「ドラフト全選手のなかで一番稼いでやる」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki / Takuya Sugiyama
posted2025/04/15 17:01

プロ8年目の捕手・山本祐大(左)と4年目の外野手・梶原昂希
「ドラフト全選手のなかで一番稼いでやる」
梶原のその言葉を聞いて、ニヤリと笑ったのは山本祐大だった。「それなら僕は……」。今やベイスターズの司令塔となった26歳は、真顔に戻ってこう続けた。
「2017年ドラフトの全選手のなかで一番稼いでやる、という気持ちでしたよ。今一番年俸が高いのはヤクルトの村上(宗隆)ですかね。村上も清宮(幸太郎、日本ハム)もスーパースターだけど、僕は誰よりも長く野球やって、誰よりもいい数字を残して、誰よりも生涯年俸を稼いでやろう、って。プロ入り後もずっと、そう思ってきました」
山本は「82番目の男」だ。清宮、村上など高卒選手に注目が集まった'17年ドラフト会議で、支配下指名選手82人のうち最後の「ドラフト9位」で指名を受けた。
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「それでも嬉しかったです。僕はずっと“負けてきた人生”だったんですよ。中学でも高校でもレギュラーではなかったし、そこまで凄い選手ではないと自分でも分かっていました。だから82番目は僕らしくて凄くいいな、って……」
キャッチャーへの強いこだわり
京都翔英高時代は、現楽天の石原彪に正捕手の座を譲りセンターに回った。卒業後は中部学院大学への進学が決まっていたが土壇場で断り、BCリーグに新規参入した滋賀ユナイテッドBCに入団した。プロを目指すために、譲れない思いがあった。
「キャッチャー以外では自分はプロには行けないと分かっていました。大学は当時、それができない状況だったんです。それなら行く意味はないと思ってしまった。僕、頑固なんです。沢山の方に迷惑をかけてしまったけれど、どうしても曲げられなくて。でもその分、絶対に中途半端なことはできないと、その後はプロだけを目指して死に物狂いでやってきました」
山本の売りは「肩」だった。滋賀では二塁送球1秒8台という強肩を武器に、走者を完璧に封じていた。当時を知る編成部アマスカウティンググループリーダーの八馬幹典氏が振り返る。
「一番評価したのは肩の強さでした。あれは天性のもの。それ以外のことはプロ入り後にいくらでも練習できるけれど、後で取りに行けない素質や感覚という部分は大事にしなければいけないと考えていました」
梶原も山本も、バランスがいい選手ではなかった。未完成で弱点もある。それでも逃すわけにはいかないと思わせる素材の良さがあった。だからベイスターズは最下位指名にその名を託し、伸び代を信じた。
二人には不思議な共通点がある。
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