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「何のための補欠だったんだろう」パリ五輪マラソン “補欠問題”で話題に…細田あい(29歳)“その後の快進撃”のワケ「複雑な気持ちはあったけど…」
posted2025/01/26 11:00
text by
泉秀一Hidekazu Izumi
photograph by
(L)JIJI PRESS、(R)Miki Fukano
パリ五輪の「補欠問題」からわずか1カ月半後、細田あいはベルリンで、その実力を証明して見せた。
2024年9月に開催されたベルリンマラソン。細田は自己ベストの2時間20分31秒を叩き出し、エチオピア勢4人に次ぐ5位でフィニッシュした。
日本歴代7位の好記録で、現役選手では4番目。記録の新しさを考慮すると、今最も勢いのある女子マラソン選手の一人だ。今年、東京で開催される世界陸上、2028年のロサンゼルス五輪の候補に名乗りをあげた。
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11月に開催されたクイーンズ駅伝の重要区間でライバル選手たちを上回り区間賞を獲得。快進撃を続けている。
まるで、それまで蓄積していた鬱憤を晴らすかのように。
MGCで3位…パリ五輪の「補欠」に選出
今から一年前、細田は難しい立場に置かれていた。
23年10月に開催されたパリ五輪のマラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」を、細田は3位でゴールした。
上位2人が即代表に内定するのに対し、3位は「MGCファイナルチャレンジとして設定された大会で設定記録を上回った選手がいない場合」という条件がつく。
つまり細田は、自らファイナルチャレンジに出場して設定記録に挑戦することも、レースに出ずに大会の結果を待つこともできる立場だった。
「設定記録は私の自己ベスト(当時)より1秒早いタイム。きっとファイナルチャレンジで誰かが突破すると思っていました。そうなると、MGCで3番でも代表に入れません。自分で記録を出すために、3月の名古屋ウィメンズマラソンに出る予定でした」
細田の予想通り、1月末の大阪国際女子マラソンで前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒の日本記録を出し、パリ五輪の代表に名乗りをあげた。
もう1つのファイナルチャレンジである名古屋ウィメンズマラソンでさらに日本記録を更新する選手が現れなければ、前田の内定が決まる。
「穂南ちゃんの記録を見て『あそこまで行ったか』とは思いました。でも、越えるしかない。記録を目指すだけでした」