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頬に穴をあけ、頭に針を打ち込み…過激な“プロレス男女マッチ”の結末は? “極悪女王の後継者”は棚橋弘至を標的に「普通に引退なんてさせねえから」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/11/28 17:04
棚橋弘至に青い毒霧を浴びせ絶叫する刀羅ナツコ。11月17日、エディオンアリーナ大阪
「鈴季、鈴季のセコンド、それから刀羅ナツコ、敵討ちしたかったらいつでもかかってこい。次はカミソリボードでも、蛍光灯でも、電流爆破のリングでも用意してこい。それでも貴様らは女だ。このオトコ、漢字の“漢”のオトコ、“令和のミスタープロレス”グレート-O-カーンに勝てるわけがねえんだから。次は何をしてやろうか? もう決まってるよ。岩谷麻優。できれば次のクロス(合同興行)まで、貴様がIWGP女子を持ってることを願うよ。次は岩谷麻優と、IWGP女子を懸けて戦うぞ。岩谷麻優も、余の誘いに頬を赤らめて、目をうるませて『やりたい』と言ってたな」
次なる対戦相手に岩谷を指名したオーカーンだが、女子王座に挑戦させないのは「(会社の)差別だ」と訳の分からないことを主張していた。
“女子プロレスの凄さ”を見せつけた岩谷麻優と渡辺桃
ターゲットにされてしまった岩谷は、オーカーンの戯言にはおかまいなしだ。前回は必死のアピールも叶わず“ただの観戦”という屈辱を味わったが、今回は念願の1.4東京ドームでのIWGP女子王座防衛戦出場にこぎつけた。
大阪のセミファイナルで行われた渡辺桃との防衛戦は激しく、この日行われたすべてのカードの中でトップの評価を得た。「セミが素晴らしかった」「メインでもよかったんじゃないか」というのが、ファンの間でのほぼ共通の認識だ。お祭り的な要素を排して戦った岩谷と渡辺の試合は、女子プロレスの凄さをまざまざと見せつけた。
岩谷は強烈なキックを何発も浴び、渡辺のテキーラサンライズも跳ね除けた。目つきが違っていた。そして3度目のドラゴンスープレックスホールドで渡辺に勝利した。
「スターダムの上の人たち、新日本の上の人たち、ファンのみなさん」と岩谷はマイクで呼びかけた。
「この試合に勝ったら言いたいことがあった。今年の1.4、出られなくてすっげえ悔しかった。見下されているような気がした。でも、今日で8度目の防衛成功。来年の1.4は、このベルトを懸けて試合がしたい。みんな凄いベルトだってわかってくれたでしょう。文句ないでしょう。試合で見せつけてきた。どんな逆境も跳ね除けてきた。そのすべてを1.4で出す」