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「あのサイコロの正体は?」「チアはまさかの自腹来日」プレミア12台湾代表の対日本“前哨戦”の謎に迫る…32年ぶり主要国際大会決勝への秘策は?
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/11/24 17:11
台湾代表のベンチでスタッフが回していたサイコロはいったいなんだったのか? 台湾記者に聞いてみた
“前哨戦”には敗れた台湾代表だが、決勝での雪辱に向けてしたたかに策を練っている。この日は、試合直前の先発変更が波紋を呼んだ。予告していた先発・林昱珉(リン・イーリン)から急遽、陳柏清(チェン・ボーチン)に変更。主催するWBSCから科された罰金2000ドル(約31万円)を受け入れて、ダイヤモンドバックス傘下3Aに所属する台湾の絶対的なエースを温存した。
先発変更からの黒星も織り込み済みか
曽監督は公式会見で、「明日の決勝を一番いい状態で迎えたかった。日本側には本当に申し訳ないことをしました」と陳謝。抗議した日本側から「せめて同じ左腕で」という要望があり陳柏清が先発マウンドに上がったが、陳は前日のアメリカ戦でも先発し「中0日」という異例の状況だった。打者5人に投げ4失点したところで降板したが、ドタバタ劇からの黒星も大一番に向けては“織り込み済み”ということだろう。
実は、台湾は日本代表の宮崎キャンプから偵察部隊を毎日送り込んで、侍ジャパンの分析を進めてきたという。ファーストラウンドの対戦では日本の投手陣に対し1点しか奪えなかったが、この日は“前哨戦”とはいえ6点を刻み手応えを得ている。
「台湾は打線はいいという印象。アメリカ戦でも打っているし(14安打、8得点)、今日も打たれているので怖さはある。(日本の投手を)ある程度分析されていると思うんですけど、それはお互い様。こっちもしっかりと研究していきたい」と日本代表の吉見一起投手コーチも警戒を強める。
1992年には日本に勝利で五輪銀
台湾代表が主要国際大会で決勝に進出したのは、1992年のバルセロナ五輪まで遡る。当時予選リーグでは2−0、決勝トーナメントの準決勝では5−2で日本を下し、念願の銀メダルを獲得している。台湾代表の曽監督は言う。
「明日の試合は細かいところ全てがとても大事になる。それを全部押さえてこそ勝利ができると思います。侍ジャパンは全てが揃っている強いチームです。1個1個細かいところを抑えて、守備、攻撃、繋ぎの部分など全てまとめてできるようにして試合を迎えたい」
WBC優勝国、日本撃破へ。可愛らしいチアリーダーや熱烈応援に象徴される朗らかさだけではない、台湾代表の強かな“本気”がそこにはあった。