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「クボ先発じゃないの? 何でか知らないけど」驚く相手ファン…久保建英はキレキレでも「監督の采配後、表情と流れが…」カメラマンは現地で見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/11/02 17:02
オサスナ戦、ベンチから途中出場となった久保建英。プレー自体にはキレがあったのだが……。
久保がアップエリアに姿を現すと、久保を待ち望む多くのファンから「Take」という掛け声があがった。また、友好的なダービーとはいえ、リードするオサスナが時間稼ぎを意図するようなプレーを見せると、すかさず大きなブーイングがスタジアムを包んだ。
その久保は、後半開始からの出場となった。ピッチインが許可されるのを待って、他のメンバーの元へ向かう久保の表情は厳しく、逆転への気迫を漂わせていた。またサポーターから掛け声と拍手などが送られた。
定位置の右サイドへポジションを取った久保は、最初のプレーを自陣やや中央寄りでボールを得ると一気に加速。スピードに乗った状態で何度も首を左右に動かしながらボックス手前まで到達すると、迷わずシュートを放った。やや威力がなかったゆえに相手GKにキャッチされたが、ゴールへの強い意識を感じさせた。
セットプレーも「タケ!」とスビメンディが指示
次のプレーではワンツーで突破を狙い、はたまた縦への突破から右足でのクロス、切り返して左足でのクロス、そしてロブ気味のパスで守備ライン裏を狙った。さらにはセットプレーをリスタートしたブライスからショートパスを受けると、カットインから左足でシュートを放っている。ややドライブのかかった強烈なシュートは枠を捉えていたが、GKセルヒオ・エレーラの横っ飛びのファインセーブに弾き出されてしまった。
またこの日のソシエダCKは、セルヒオ・ゴメスが担当していたが、マルティン・スビメンディが「Take」と名指しでキッカーを指示する場面もあった。
久保に笑みはなく鬼神を宿し、果敢に、そして多彩な技と閃きで相手に挑みかかった。その内情には焦りもあったかもしれない、ただゾーンに入ったかのような久保に引きずり上げれたチームからは、いつゴールが生まれるんだという期待が生まれ、久保がボールを持つ度にゴール裏観客から「Take!」と祈りに似た叫びが上がるほどだった。
久保のポジションを動かしたことで勢いが削がれた
ただその勢いにストップをかけたのは、ソシエダの指揮官だったと言わざるを得ないか。
相手を押し込むもののゴールを決めきることができずにいると、70分、3枚同時交代に踏み切った。
直後に得たFKの際に、交代で入ったシェラルド・ベッカーが久保に近づき、ポジションの変更を伝えた。監督からの指示か、ベッカーの独断かは判断がつかなかったが、久保からは驚きのような反応が見られた。
これを機に、ソシエダの勢いが削がれてしまったのは明らかだった。