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2013年生まれの“小学生レスラー”がデビュー「昔だったら考えられないこと」ジャガー横田も期待する新人・NENEが見せた“真っ向勝負” 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2024/10/27 11:02

2013年生まれの“小学生レスラー”がデビュー「昔だったら考えられないこと」ジャガー横田も期待する新人・NENEが見せた“真っ向勝負”<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

10月13日にデビュー戦を行った“小学生レスラー”のNENE

何度も繰り出したエルボー、ドロップキック

 団体初の小学生レスラーを“聖地”後楽園でデビューさせようというプランだ。では、それに見合うだけの能力とはどんなものだったのか。本人の言う基礎とはどんなものか。佐藤が説明してくれた。

「小学生でも大人でも、プロレスの基礎は一緒です。相手の技をしっかり受けること。攻撃で言ったらエルボーやドロップキック、ボディプレス。少ない技でも試合を組み立てられるのが大事で、それができたら次のレベルに上げていくんです。まずは自分の足でリングに立って、自分の足で帰ってくること。その第一段階ができていたのでよかった」

 試合は6分50秒で尾﨑の勝利。短時間と言えば短時間だが、尾﨑が得意とするアルゼンチン・バックブリーカーでギブアップするまで、NENEが見せた闘いは佐藤が言った通りのものだった。 

 エルボー一発で吹っ飛ばされても立ち上がる。逆に自分の攻撃は一発では効かない。エルボーもドロップキックも、ひたすら数を出した。逆エビ固めに捉えられると必死の形相でロープに手を伸ばす。秘策もなければ奇策もない。道場で教わった技を全力で出すだけだった。

「(チャンピオンとの対戦で)凄く緊張したんですけど、今出せる精一杯の技が出せました」(NENE)

11歳の“真っ向勝負”を対戦相手も称賛

 試合で使われた技は、プロレスファンでなくとも知っているような基本的なものばかり。だからこそ、その威力や精度が問われてくる。試合後の尾﨑はNENEを連れてインタビュースペースに現れた。第一声は「NENE、凄いエルボーするじゃん!」だった。

「小学生だからエルボーもフニャフニャだと思ったら違いましたね。音も鳴ってたし、普通に痛かった。やっぱり梅咲遥のいるディアナでちゃんと練習してるから、いいエルボーが打てるんですね。ドロップキックも打点が高かったですし、受身もできてました」

 ディアナの社長は井上京子。ジャガーと同じく往年の全日本女子プロレスを知るレスラーだ。ディアナは昭和からの流れを汲む、女子プロレスの保守本流と言ってもいい。小学生のNENEも、そこで基礎を身につけたのだ。

 尾﨑が讃えたエルボーは、ディアナの選手の代名詞のようなもの。さまざまな攻防の中でも強いエルボーを打つこと、エルボーの打ち合いで引かないメンタルを特に重視する。Sareee(現フリー)がそうだし今のディアナで“絶対センター”と呼ばれる梅咲もエルボーの強さで知られる選手だ。

 それを美蘭が受け継ぎ、そして11歳のNENEもエルボーで真っ向勝負する姿勢を見せた。エルボーの打ち合いで引かないことは、試合の結果とは別の部分での気持ちの勝負。そこで気力が萎えてしまうと、相手にも観客にも伝わってしまう。最後まで食らいついたNENEは、試合に敗れても“ディアナの闘い”を見せた。

【次ページ】 レジェンド・ジャガー横田「昔だったら考えられないこと」

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