第101回箱根駅伝(2025)BACK NUMBER
季節外れの過酷な暑さに波乱続出! 箱根駅伝予選会で本戦出場への明暗を分けた「セルフコントロール術」とは
posted2024/10/31 10:00
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Nanae Suzuki
東京都心で統計開始以来、最も遅い真夏日を観測した10月19日。第101回箱根駅伝予選会では、その季節外れの暑さが大学生ランナーを苦しめた。
スタート直前の9時の時点で23.2度。雨上がりの蒸し暑さに加えて、容赦ない強い日差しも降り注いだ。体感温度はおそらく数字よりもはるかに高かっただろう。
予選会史上最も過酷と言っていいほどの気象コンディションが数々の波乱を巻き起こした。
「10秒から15秒遅いんですよね……」
レースが中盤に移る頃、沿道で出くわした専修大学外部コーチの五ヶ谷宏司氏が不安そうな面持ちでこう漏らした。
実際に、5kmの通過順位では出場ラインの10位はおろか、20位以内にさえいなかったのだから、序盤の展開に五ヶ谷コーチが不安に思うのも仕方ないことだった。
10kmの通過も「予定より30秒ぐらい遅かった」と言うが、じわじわと上昇する気温にライバル校は苦しんでおり、専大の順位は一気に通過圏内の9位にジャンプアップしていた。
悪条件を跳ね返した自己判断力
ここから逆襲が本格化。レース後半、国営昭和記念公園に入ってからが専大は強かった。
「前回、予選会で落ちてしまったので、今年は距離に相当こだわってやってきた。早い段階から『暑くなる』と言われていたので、夏場にはあえて暑い時間帯に走ったりもしました」(五ヶ谷コーチ)
そんな取り組みの甲斐もあって、15kmで5位、17.4kmで2位と順位を上げていった。
「選手たちがうまくレースを組み立ててくれました」
五ヶ谷コーチがそう称えたように、選手が設定していたペースに固執せず、遅く入ったことが功を奏したと言っていい。
前評判は決して高くはなかったものの、専大は下馬評を覆して2位で本戦出場を決めた。
レースは生き物のようなもので、刻一刻と状況が変わる。スタート前と実際に走り出してからとでは、暑さの感じ方も違っただろう。
予想を超える悪条件となったレースで、選手に求められたのは自己判断力だったのではないか。今季から立教大学の指揮を執る髙林祐介監督も、選手自身の判断についてこう話した。