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「息ができなかった」野茂英雄とイチロー“まさかの結果だった”メジャー初対戦の日「米で衝撃シーンが放送」現地記者が目撃「野茂の豪球が背中に…」

posted2024/09/01 11:01

 
「息ができなかった」野茂英雄とイチロー“まさかの結果だった”メジャー初対戦の日「米で衝撃シーンが放送」現地記者が目撃「野茂の豪球が背中に…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2001年5月、野茂英雄とイチローがメジャーで対戦した。試合後、2人が語った言葉とは

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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 野茂英雄とイチロー。2人の天才はお互いをどう見ていたのか。2000年代、両者の対戦を取材した記者が回想する。【全2回の1回目】

◆◆◆

 日本人メジャーのパイオニア野茂英雄と日本人野手のパイオニアであるイチローが、初めてメジャーで対戦したのは2001年5月2日、シアトルのセーフコフィールド(現Tモバイルパーク)でのことだった。

野茂vs.イチロー「初対戦でまさか」

 マリナーズでメジャーデビューしたばかりのイチローは、開幕から周囲の予想を超えるレベルで打ち続けていた。開幕3戦目から15試合連続安打をマークし、4月22日からは23試合連続安打、4月だけで1試合4安打を2度も記録するなど、まさに破竹の勢いだった。野茂との対戦を迎えたのは、23試合連続安打中の8試合を経過したところ。日本時代はそれぞれ近鉄、オリックスという同じパ・リーグで何度か対戦してきた2人だが、メジャーでの初対戦は注目の度合いも違った。日本はもちろん米国でも、このマッチアップに注目が向けられていた。

 野茂はドジャースでの鮮烈デビューから6年が経ち、球団を転々とした末にメジャー5球団目となるレッドソックスとの契約1年目シーズンだった。タイガースでプレーした前年(2000年)は8勝12敗、防御率4.74。もはや全盛期は過ぎたと思われていた時期だったが、新天地での初登板となる4月4日のオリオールズ戦でいきなり自身2度目のノーヒットノーランを達成。開幕から5試合で3勝1敗、防御率2.40と好調なスタートを切り、波に乗って臨んだ6試合目の登板がこのマリナーズ戦だった。

 1番ライトで出場していたイチローが最初に打席に入ったのは1回裏の先頭。結果は二ゴロで第1ラウンドは野茂の勝ちに終わる。3回の第2打席もイチローが中飛に倒れ無安打。そして、1対1の同点5回2死二塁の第3打席のことだった。野茂の投げた90マイル(約145キロ)が内角へ切れ込み、よけようと体を背けたイチローの背中にぶつかった。

「息ができなかった」

 イチローは試合後にそう言った。

「僕は野茂さんを敵の1人と考えています」

 それでもパイオニアの先輩であり日米で実績を残してきた野茂へのリスペクトと、メジャーという最高峰の舞台で勝負する思いをこう話した。

【次ページ】 野茂の言葉「周りが意識させるので…」

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