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“飛びすぎる金属バット問題”は中村奨成「清原和博超え6HR」の10年以上前から深刻だった…“日米の開発対立”舞台ウラを高野連が明かす 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/04/06 17:01

“飛びすぎる金属バット問題”は中村奨成「清原和博超え6HR」の10年以上前から深刻だった…“日米の開発対立”舞台ウラを高野連が明かす<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2017年夏の甲子園で清原和博の持つ1大会本塁打数を更新した広陵・中村奨成

 日本など他国は、それに合わせて翌年以降、「公認野球規則」を改定してきた。しかし昨今は、アメリカ側の改定をそのまま受け入れられないケースも散見するようになった。アメリカには「野球の宗主国」という意識があるのかもしれないが、各国には各国の事情がある。

 金属バットに関しても、日本高野連としては競技内容やチーム運営にも大きな影響を与える改定について、アメリカ方式をそのまま了承できなかった。「機能性」「品質」ではなく「検査方法」が大きなネックとなって、日米の金属バット開発プロジェクトは中断した。

取材を進める中でアメリカ側の言い分を聞いたが…

 アメリカでは2011年にBBCORの検査によって開発されたBBCOR0.50使用のバットがアマチュア球界に導入された。以後、アメリカではこの仕様のバット以外は試合で使えなくなる。イーストンやローリングスなどアメリカのスポーツメーカーはBBCOR0.50の金属バットを製造販売している。またアメリカのミズノもこの仕様のバットを製造販売している。

 しかし日本ではこれ以降、金属バット改定の話はストップしてしまった。

 高校野球の改革を目指して2014年から「リーグ戦」を展開している「LIGA-Agresiva」は「トーナメントの弊害」を重視するとともに「スポーツマンシップの学び」「原則として全員試合参加」「球数制限」などユニークな施策を取り入れている。

 その中で「飛びすぎない金属バット」の使用もその一つだった。

 BBCOR仕様のバットを導入(のちには国内ブランドのバットも製造)していた。指導者や選手からは「芯を食わないと飛ばないので、打撃向上につながる」「打球速度が遅くなったので、野手が思い切って突っ込んで取ることができるようになった」と好評だった。

 筆者はこの取材を続ける中で、BBCORを開発したNCAA関係者にも話を聞くと、こう語っていたことが印象に残っている。

「我々は開発を進めたいと思っていたが、日本側が手を引いたので、アメリカだけでBBCORの開発を進めることになった」

 ただ、日本側には導入に踏み切れない切実な事情があったわけだ。

アメリカは莫大な予算と時間をかけられる中で

 アメリカでは金属バット以外の野球関連研究にも、莫大な予算と時間をかけている。例えば、アメリカで子供が投げて良い球数、投球間隔を年齢別に規定し、MLBでも制定されている「ピッチスマート」である。

【次ページ】 森友哉ら大阪桐蔭に中村…10年代の甲子園はどうだったか

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