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甲子園初優勝の健大高崎キャプテン“覚悟の本音”「僕らは五厘刈りで優勝できた」昭和っぽい野球か、スマートな野球か…その議論を超えた日
posted2024/04/01 11:03
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
根性、執念、気迫、野心、野望——。
そういったものをすべて持っている選手たちだと評したのは、健大高崎のスカウト担当であり、バッティングコーチでもある赤堀佳敬だ。
「この子たちの学年はタレント軍団って言われてますけど、タレントっぽくきれいな野球をするのか、メッセージを投げかけるような我武者羅な野球をやるのか、それを深いところまで突き詰めてきた世代。結論として、時代に逆行しているかもしれないけど、泥臭い、男臭い野球があってもいいんじゃないかというところにたどり着いたんです」
前時代的か、進歩的か?
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選手たちの頭が青々としていますねと問うと、赤堀は「修行僧のように刈っていますから」と嬉しそうに笑った。
健大高崎の男臭さを象徴しているのは「4番・捕手」で、キャプテンの箱山遥人だ。太い眉が特徴的なその風貌は、まるで野武士のようだ。
「今までの健大のチームカラーを壊してでも、泥臭さだったり、執念だったり、根性論といいますか、そういった昭和っぽい精神野球を取り戻そうということでやってきました」
健大高崎の練習環境は至れり尽くせりだ。両翼95メートルの専用スタジアム、室内練習場、照明付きのブルペン、最新機器のそろったトレーニングルーム、2つからなる専用寮、サウナ付きの浴場などの豪華設備があるだけでなく、スタッフも外部コーチを含めると10人もいる。監督の青柳博文は高校球界においては進歩的な指導者だ。
「自分一人だと間違いが起きるんですよね。間違いが起きるうちに自分が裸の王様になって、意見を言ってもらえなくなっちゃう。いろんな人に意見を言ってもらいたいので、こういうやり方にしています」
青柳は怒らないどころか、練習中もコーチ陣に任せきりで、ほとんど何の指示もしないという。赤堀は「プロ野球の監督みたいです」と話す。
時代の変化…「(髪)伸ばすか?」
そんな先進的な環境もあって、近年の健大高崎はどちらかというとスマートな野球が売りだった。だが箱山はそれが不満だった。
「悪く言えば、すかしていた。『五厘は嫌』という雰囲気もあって。ただ、自分たちの代も、能力の高い選手が多いので最初は自分にしか興味がなかった。だから、チームとして戦ってくる相手には勝てなかったんです」
箱山らの代は新チームを結成した直後、秋の地区大会の初戦で東農大二校にまさかの敗戦を喫する。部長の生方啓介に「史上最弱」という厳しい言葉を投げつけられた。箱山が思い出す。