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ソダシ&今浪厩務員コンビは須貝尚介調教師の「配役」だった…吉田隼人&今浪隆利&須貝師が振り返る「伝説の白毛馬」に出会うまで
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph byNaoya Sanuki
posted2024/03/08 06:00
昨年、引退したソダシと今浪隆利厩務員。稀代のアイドルホースの軌跡を証言とともに振り返る
「おとなしくて、ぜんぜん歩かなかった。それが、3歳になってからあれがでてきて」
それからは、噛まれるのはしょっちゅうで、一度暴れたら収まりがつかず、まわりの馬も近づかせない。つねに周囲の馬を気にしながら、「毎日、何十回も『すみませーん』って謝りながら馬を引いてました」と言って、今浪はたのしそうに笑った。
そんな今浪が担当になったソダシは夏の北海道でデビューすることになった。その前の調教で須貝は吉田隼人を乗せている。'18年の秋、ひとりで関東から栗東にやってきた吉田は「調教を手伝わせてもらえませんか」と須貝に頼んできた。
隼人は、競馬にたいしてまじめ
吉田は'08年のスプリンターズステークスで須貝彦三厩舎のタニノマティーニ(8着)に乗せてもらったことがあるが、須貝尚介が調教師になってからのつながりはなかった。だが、飛び込みでやってきた吉田はレースでもしっかりと結果をだし、須貝厩舎の主戦を担う騎手のひとりになっていた。須貝も「まじめな男」と評価している。
「隼人は、競馬にたいしてまじめ。いや、まじめになったのかも知れないけど(笑)、頑張ってくれてますよ」
ソダシに跨がった吉田は驚いた。
「跨がってみて、すごい能力あるなと思った。背中のバネもよかった。須貝先生が『北海道に行くなら乗せてやる』と言うので『ぜひ、お願いします!』と」