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「伊東はこの街のスターなんだ」伊東純也は“シャンパンとフットボールの街”ランスで愛されていたのか?「うん、ナイスガイだったな」 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/02/03 17:00

「伊東はこの街のスターなんだ」伊東純也は“シャンパンとフットボールの街”ランスで愛されていたのか?「うん、ナイスガイだったな」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

アジアカップ開催中に性加害疑惑が報じられた伊東純也。2月2日に日本代表チームからの離脱が発表された。昨年12月に所属チームのフランス「スタッド・ランス」にてNumberが現地取材し、伊東の評価を聞いていた

「得点、アシスト、ビジネス面での貢献。総合的な意味で伊東は欠かせない。この前フィリップ・トルシエと話すことがあってね。彼も伊東の素晴らしさを語っていたよ。30歳だが、私はもうひとつステップアップすると見ている。プレミア、リーガ、ブンデスの中堅あたり。もちろん、ランスとしては避けたいところだが」

 そして試合の時刻がやってくる。伊東はスタジアムの入り口にかけつけたファンとハイタッチをして入場する。「イート! イート!」の掛け声はやまない。ひとたびピッチに立てば、数cm浮いているかのようなあの軽快なステップで敵を抜き去るだろう。2万の声援がライン際の7番の背中を押す。ランスにきて1年半。すでに戴冠式は済んでいる。

 昨夏チームメイトになった中村敬斗はこんな話をしてくれた。

「純也くんは言うまでもなくチームで一番の選手です。そして純也くんが築いた功績で、ここでは日本人に対するリスペクトを感じる。伊東の後輩ということで、リスペクトを持ってくれて。感謝したいですね」

 フランスの片田舎にあるシャンパンとフットボールの街。その地の人々は伊東の背中に、かつて見た夢のかけらを見ている。いつか再び欧州の舞台で躍進するという、淡い期待が叶う日は来るだろうか。

 日付が変わる頃、街へと続く一本の橋を渡った。『キルベリー』の扉の奥に薄明かりが見える。扉を押すと数人の赤いファンが残っていた。シャンパンはあいてはいない。あったのは日本人を讃える声と、やまない深夜の歌だった。

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