武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
“ご意見番”武蔵丸の苦言「横綱・照ノ富士とそれ以外で“力の差”があり過ぎ」「ボクの息子は琴ノ若ファン、負けると機嫌が悪いんだ」
posted2024/01/31 17:05
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
JIJI PRESS
3場所連続休場明けの横綱照ノ富士が、関脇琴ノ若との優勝決定戦を制して9度目の優勝。横綱としての底力を見せて、よくやってくれたよ。新年幕開けの初場所は、優勝争いが最後まで面白かったね。まずはみんな、オツカレサンデゴザイマシタ。やっと正月を迎えられるな(笑)。
照ノ富士は、初日から相撲の流れはあまりよくなかったんだよ。でも、休場してる間に力を温存できてもいたのかな? 特に千秋楽の一番では、横綱昇進の掛かった大関霧島の体を持ち上げて浮かせちゃったくらい。「ここ一番」で力を出し切れるのは、さすがだよね。ただね、休場明けの、満身創痍の横綱に優勝されてしまうって、他のお相撲サンたちとの”力の差”があり過ぎるってことにもなるんだ。
「琴ノ若、僕が教えてあげたいくらい(笑)」
琴ノ若が大関に昇進したとのことで、本当にめでたいな。でも、まだまだ横綱との差があり過ぎるんだ。本割でも優勝決定戦でもそうだったけれど、横綱に何もさせてもらえない。当たって中に入って、頭から行かないとダメ。せっかく右を差したのにそのまんまで、動いてないんだもん。照ノ富士のほうが先に動いてるんだよ。差したら速攻で前に出ないと。琴ノ若はスピードがなくて動きが鈍いんだよな。番付が下のお相撲サンには勝てても、照ノ富士レベルにはそうはいかない。琴ノ若は脚が長くて体勢が高いから、もっともっと低く、早く! まずは立ち合いの当たりを強くして、動いてね。まわしを取られてしまったら照ノ富士は動かないし、何もできないのは当然なんだからさ。
僕が相撲を教えてあげたいくらいだよ(笑)。きっと僕たちにしかわからないと思うんだけど”体がデカい人向けの相撲”ってのがあるんだよね。実のお父さんで師匠でもある初代琴ノ若(佐渡ヶ嶽親方)も体は大きかったけれど、その取り口は、言ってみれば特に技があるとか、力相撲でもなかったのね。”ミスター1分”と呼ばれるくらいに長い相撲が多く、ガンガン攻めるタイプではなかった。僕の現役時代、おじいちゃんにあたる元横綱琴櫻さんが、当時の琴ノ若に「おい。出稽古行っても本場所で勝てないならもう行くな!」なんて言ってたなぁ。猛牛と呼ばれていたおじいちゃんの”ぶちかましテイスト”が、お孫サンにも大事なんだよ。