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格闘技PRESSBACK NUMBER
朝倉未来への愛憎をさらけ出し…平本蓮は“善人”になったのか? 激闘後、敗者YA-MANを称えた真意「心が弱い? そんなことないから」
posted2024/01/05 17:01
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
“善人”にも“悪人”にもなる男
よほど悔しかったのだろう。判定負けを告げられた直後、YA-MANはリング上で泣き崩れた。四つん這いの状態からしばらく立ち上がれそうもない。どれほどの思いでこの一戦に臨んでいたのかを証明するようなシーンだった。
2023年12月31日、『RIZIN.45』で行なわれた平本蓮とYA-MANの大一番。失意の対戦相手の背後から近づいた平本は、背中を叩きながらこう声をかけたという。
「俺の勝ち~っ」
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実際はどうだったのか、真偽は定かではない。試合前に罵り合いを繰り広げた両者だったが、ケリがついても舌戦はついて回った。とはいえ、平本にすれば敗者にムチを打つような気持ちはサラサラなかった。試合後、インタビュールームでの質問で慰めの言葉ではなかったのかと突っ込まれると、平本は「まあ、ハイ」と答え、「もう終わったらノーサイドなので」と締めくくった。いかにも平本らしい“ノーサイド”ではないか。
その前にYA-MANがインタビューに応じ、敗因について「自分の心の弱さ」と語っていたことを告げられると、平本は「そんなことないから」と初めて対戦相手をかばった。
「胸張って頑張れよって感じです。気持ちは強かったよ」
善人なのか、悪人なのか。それとも時と場合に応じて、そのどちらにもなるのか。現在の平本は勧善懲悪的なスケールには収まらないファイターだろう。
いや、プロレスラーではないのだから、本来格闘家にベビーフェイスやヒールといった区分けは必要ないはずだ。「格闘家=品行方正であるべし」というステレオタイプな見方は、もはや前時代の遺物なのだろうか。
なぜ「BLACK ROSE」を結成したのか
今回の『RIZIN.45』に臨むにあたって、平本は安保瑠輝也、篠塚辰樹らと所属ジムを超越したチーム「BLACK ROSE」を結成。12月22日には東京・新橋駅前で決起集会を行った。ファイターは所属先があって当たり前。フリーという選択肢もあるが、チームという発想はこれまで格闘技界にはないものだった。
しかも、「BLACK ROSE」は大晦日限定で作られた企画モノではない。YA-MAN戦後、平本はいかにチームに救われたかを力説した。