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「根拠のない昔ながらの指導」プロ野球コーチは淘汰される? 西武関係者が明かす“データ革命”…榎田大樹の復活で確信を得た舞台ウラ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/01/05 17:28

「根拠のない昔ながらの指導」プロ野球コーチは淘汰される? 西武関係者が明かす“データ革命”…榎田大樹の復活で確信を得た舞台ウラ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

西武ライオンズの中ではどんな“データ野球革命”が起きているのか

「12球団の中では、トラックマンを最初に導入したのは楽天イーグルスで、我々は2番目か3番目だったと思います。投手のボールの回転数など今まで見えなかったデータが見えるようになりました。

 でもそこから、回転数や回転軸が意味するもの、リリースポイントが変わると投球はどう変わるのかなどを解釈する作業をしないとダメだと思いましたし、コーチやスタッフだけでは手に余ることが出てきました。

 そこでデータと感覚をすり合わせるために、早稲田大学スポーツ科学部の矢内利政教授と共同研究をさせていただき、そこから現北里大学の永見智行准教授とつながりました。永見先生はトラックマンがない時代からカメラを使って投手のバイオメカニクス(生体力学)を研究されていました。そういう形で、専門家との出会いがあったのが大きかったですね」

サウスポー榎田の再生に大きな役割を果たした

 トラックマンを導入して投手陣が変化したと実感したのは、2018年のことだった。

「例えば田村伊知郎投手についてトラックマンで計測すると、持ち球が全てNPBの平均くらいでした。なので、各球種をその平均からズラしていく方がいいんじゃないか、さらに落ちる、曲がるシュート系のボールを覚えた方がいいのではのかと話して、球種を増やし、投球を磨きました」

 そして同年に阪神から移籍した左腕・榎田大樹の再生にもトラックマンは寄与したという。

「榎田投手はかなり多くの球種を持っていましたが、さらに何か新しい球種を持ちたいと言っていました。なのでトラックマンを使って計測してスラーブを覚えたり、今ある球種を磨いていました。あとは武隈祥太投手(2022年引退)や増田達至投手などもデータをもとに、投手コーチと話したりして球種の改善に取り組んでいましたね。

 当時の投手コーチだった土肥義弘さんはすごく勉強熱心な方で、うまくデータを活用して投手と会話していましたね。それに広池浩司球団副本部長兼一軍ディレクターも積極的にデータ活用を推進しました。また、菊池雄星投手(現ブルージェイズ)は、それとは別に外部の専門家のアドバイスを受けていました」

根拠もなくハードワークを強いる昔ながらの指導は…

 ここまで選手たちの実例を聞いたが、ライオンズの育成体制は2016年のトラックマンの導入以降で、変わってきたのだろうか。

【次ページ】 2024年から、榎田がコーチになることで期待することは

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