ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥に勝てる」タパレスを再生させた“優秀な参謀”が不気味な発言…圧倒的KO予想を裏切る“アップセット”を確信できる4つの理由とは?
posted2023/12/25 11:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Daisuke Sugiura
今をときめくWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋)に対し、下馬評不利の対抗王者はどこに勝機を見出すのか。12月26日、有明アリーナで行われる同級4団体統一戦に際し、WBAスーパー、IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)側からの見どころはその一点に絞られるのだろう。
表層上の戦力は井上が大きく上回って見える。リングマガジンのパウンド・フォー・パウンドランキングでも現在2位にランクされる“モンスター”が敗れることがあれば、世界的なアップセットとして歴史に刻まれるに違いない。
そんな前評判の中でも、タパレスのトレーナー、アーネル・フォンテニーヤの自信は揺らいでいない。12月上旬、リモートで行ったインタビューの際も、敵地での勝利に向けての絶対的な手応えを強調していた。
「井上に勝てると確信している」
「今回の試合にはかなり自信を持っています。マーロンには十分なパワーとハートの強さがあります。試合当日、私たちはいい戦いをお見せできると思っていますし、井上にも勝てると確信しています。マーロンのキャリアでも最大の一戦。もちろん全力で臨みますよ」
ビッグファイトの前に陣営が自信を漲らせるのは当然ではあるが、43歳の若手トレーナーの落着きぶりが不気味に感じられたのは事実だった。
実際に今のタパレスは31歳にして充実期を迎えている。元WBO世界バンタム級王者でもあるサウスポーは2019年12月、岩佐亮佑(セレス)に11回TKO負けを喫して以降は4戦全勝(3KO)。2021年12月、3度のダウンを奪っての圧倒的な2回KO勝ちで勅使河原弘晶(三迫)を粉砕すると、今年4月、スーパーバンタム級では井上、スティーブン・フルトンに次ぐ実力者と目されたムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を下して2階級制覇を果たした。このように連勝中というだけでなく、フォンテニーヤを上機嫌にさせているのはその試合内容だという。
「最近の試合ではいいアジャストメントをしてくれてきたと思います。ゲームプラン通りの戦いがうまくいったのです。ただ、満足はしていません。ビデオで戦いぶりを振り返り、向上に努めています。マーロンはまだまだ強くなっていますよ」