草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日入りの中田翔が「本当に望んでいた」ただ一つのこと…「背水の陣」立浪和義監督が秘める“勝負手”と「バンテリンドームの吉兆」
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/10 11:00
入団会見では晴れやかな表情を見せた中田翔
当初は「指名打者があるパ・リーグ志向」や「家族が東京都内に住んでおり、教育環境も考えれば在京球団が優先」などとみられていたが、入団会見では中日への感謝とともに妻、4人のこども、3匹の愛犬とともに名古屋に引っ越す考えを披露した。要するに中田が望んでいたのはシンプルに「スタメンで試合に出ること」だけだったということだ。
ビシエドはどうする? 立浪監督の思惑
SNSなどでも、ファンは概ね中田の移籍を歓迎しているようだ。今シーズンのチーム総得点が12球団ワーストの390。脆弱な攻撃力が2年連続最下位の大きな要因となっており、中田の長打力と勝負強さは喉から手が出るほどほしかった。
中田がドラゴンズの救世主となるために、最初の問題となるのが、一塁のポジションがダヤン・ビシエドとかぶるところか。今シーズンは打率.244、6本塁打、23打点。こちらも契約が来シーズンまで残っている。条件を満たし、日本人扱いとなるところは大きな魅力だが、立浪監督も再建への結果だけを求められる契約最終年。2日の入団交渉にも会見にも同席しており、ビシエドとの競争ではなく4番・一塁を中田に託して勝負に出る可能性が高い。
次なる問題は投手有利として知られるバンテリンドームで打てるのかという点だ。日本ハム時代の交流戦から通算すると40試合で打率は.246、9本塁打、21打点を挙げている。昨年はライデル・マルティネスから本塁打を放っており、今シーズンも8試合、28打席で.320、2本塁打。OPS.957と、すこぶる頼もしい数字を残している。
コンディションさえ整えば、ホームグラウンドの広さは関係ないということだ。立浪監督とは2013年WBCの侍ジャパンで、打撃コーチと選手として同じ釜の飯を食った経験がある。シーズン100打点という勝負強さを非常に高く評価しており、ポイントゲッターとしての役割を期待している。