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ドラフトウラ話「指名漏れを思うと当日会見は…」「調査書の数は公言していいのか」無名公立校“テレビに映らない”ドタバタ現場《ヤクルト育成2位》 

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井上幸太

井上幸太Kota Inoue

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posted2023/11/02 06:02

ドラフトウラ話「指名漏れを思うと当日会見は…」「調査書の数は公言していいのか」無名公立校“テレビに映らない”ドタバタ現場《ヤクルト育成2位》<Number Web> photograph by Kota Inoue

島根の公立校・三刀屋(みとや)から初のプロ野球選手となった髙野颯太

「もし漏れたときのことを思うと…」ドラフト当日の会見形式

 その次は、ドラフト当日の会見をどうするか。ドラフト会見の方式は、大きく分けて2つある。一つは、ドラフト会議の開始直後から、本人と監督が会見場で待機し、報道陣とともに会議を見守る方式。もう一つは、会見場とは別の場所で会議の様子を見届け、指名後に会見場に現れる方式だ。指名の有無が不透明な場合は、後者を選択することが少なくない。指名漏れの場合、本人を会見場へ登場させずに済むからだ。三刀屋初のドラフト会見は、後者の「指名まで本人と監督は、別の場所で待機。指名後に会見場に登場」の方式を採用した。國分監督が解説する。

「校内でも『せっかくだし、会見場で一緒に待つ形にしてみたら?』という意見もあったんですが、指名確実とは言えない中で、もし漏れたときのことを思うと……。会見させるのは酷だと思って、指名があれば取材対応の形式にしました」

中継どう映す? 衛星放送チャンネルから営業も

 当日、どのようにドラフト会議の模様を視聴するかにも悩んだ。学校にテレビはあるものの、地上波では上位指名までしか放映されない。育成指名の終了まで放送する衛星放送チャンネルから、「ぜひドラフト会議の様子を皆さんで見守りませんか? 機材の設置も担当しますよ」と営業の連絡が入るも、数万円の経費が必要。学校にとってハレの日とは言え、公立校の予算的に……という思いもあり、二の足を踏んだ。そのチャンネルと契約しているチーム関係者がいたため、当日使わせてもらおうと考えるも、視聴のために必要なBS・CSアンテナが学校にないことがわかり、それも頓挫。最終的に、PC、タブレットで視聴できる配信映像をプロジェクターで出力する形を採った。

「た」でどよめくドラフト当日

 迎えた10月26日。國分監督、髙野を含むチーム関係者は、学年集会などで使用される大教室に集まり、会議の様子を注視した。

 広島2位の左腕・高太一、DeNA3位の武田陸玖、オリックス5位の高島泰都ら、「た」が付く選手の指名で仲間たちがどよめく。

 複数の球団の担当スカウトから「下位にはなりますが、自分としては支配下でも推します」と伝えられていたが、支配下では無念の指名漏れ。休憩をはさんで育成ドラフトが始まるときには、焦りと緊張から髙野の表情も硬くなっていた。

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