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微笑む廣瀬俊朗に「笑いごとじゃないぞ」とマジギレ…エディー・ジョーンズが明かす、日本代表を団結させた“ある引き金”

posted2023/09/18 17:03

 
微笑む廣瀬俊朗に「笑いごとじゃないぞ」とマジギレ…エディー・ジョーンズが明かす、日本代表を団結させた“ある引き金”<Number Web> photograph by AFLO

エディー・ジョーンズが率いるチームの初代キャプテンとなった廣瀬俊朗。真剣に彼の態度に怒ったエディーにはある計算があった

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エディー・ジョーンズ

エディー・ジョーンズEddie Jones

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 ラグビーW杯フランス大会でオーストラリア代表の指揮を執るエディー・ジョーンズ。2015年大会ではブライトンの奇跡を巻き起こし、2019年大会ではイングランドを準優勝に導いた闘将は、日本代表をどのように変えたのか。その思考を『LEADERSHIP リーダーシップ』(東洋館出版社)から紐解く。(全3回の3回目/#1#2からの続き)

ゴールドマン・サックスも興味を持った日本のキャプテン

 日本代表のヘッドコーチを初めて任されたとき、チームのキャプテンは廣瀬俊朗(としあき)だった。小柄で、特にスピードには恵まれていないウィンガーだが、とても興味深い経歴の持ち主だった。非常に頭脳が優秀で、日本の名門校である慶応義塾大学出身。希望すればどんな会社にでも入れただろう。アメリカのゴールドマン・サックスやイギリスのアーンスト・ヤング(編集部注:世界四大会計事務所の1つ)までが、彼に興味を持ったのだから。しかし廣瀬は、ラグビーを続けることを選び東芝に入社した。その後彼は、発展する日本ラグビー界に目を向けた。そして、選手としての能力には限界があると知りつつ、その知性をうまく活かすことに取り組んだのだ。

 私が廣瀬を最初のキャプテンに任命したのは、世界と戦うチームを率いる私をサポートしてくれると思ったからだ。チームの中心は日本人選手にしたかったが、これまでの代表チームのように視野を狭くしてほしくはなかった。廣瀬の知性は、その自由さや好奇心の強さの表れでもあった。それはチームに適切な気風を与えた。私のチームで2年間キャプテンを務めたが、最初の頃は私の怒りの矢面に立っていた。

笑いごとじゃないぞ。これが日本ラグビーの問題だ

 在職から1カ月後、フレンチ・バーバリアンズ相手に惨敗し、我々はコーチとキャプテンとしてメディアの取材を受けた。この試合の日本代表のパフォーマンスはまったく容認できないもので、私はチームを辛辣に批判した。廣瀬は日本人が緊張するとよくやるように、私の話の途中でぎこちなく微笑んだ。私は「笑いごとではない」と言って、容赦なく続けた。

【次ページ】 “劇薬”によりチームは情熱を燃やし始めた

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