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「隠しカメラで選手を観察した」エディー・ジョーンズが日本の選手を“あえてイラつかせたワケ”「上からの命令に従う文化を変える」
posted2023/09/18 17:01
text by
エディー・ジョーンズEddie Jones
photograph by
Takuya Sugiyama
ラグビーW杯フランス大会でオーストラリア代表の指揮を執るエディー・ジョーンズ。2015年大会では日本代表を率いブライトンの奇跡を巻き起こし、2019年大会ではイングランドを準優勝に導いた闘将は、日本というチームをどのように変えたのか。その思考を『LEADERSHIP リーダーシップ』(東洋館出版社)から紐解く。(全3回の1回目/#2、#3へ続く)
ドッキリさながら…隠しカメラで選手たちを見る
2015年に日本代表をワールドカップの準々決勝に進出させるというありえない目標を立てたとき、最も苦労したのは、それまで大人しく従順であることが当たり前だった日本の選手たちに、健全な対立意識を持たせることだった。日本には目上の者の命令に従う文化がある。しかし、目標を明確にした以上、選手たちには安住することをやめてもらわなければならなかった。それまで穏やかで秩序だったチームに、対立を持ち込む必要があった。
あるとき、私は夜にチームルームで重要なミーティングを行うと選手たちに告げ、開始時間を知らせた。私たちは選手たちが時間を守り、私や他のコーチたちよりも2、3分早く集まるだろうと予想した。従順な彼らは、開始時間の5分前には集合し、いつもの場所に座ると、ミーティングが始まるのを待っていた。私は別の場所からその様子を見守っていた。他のコーチたちとともに数時間前に隠しカメラをセットして、選手たちの様子を撮影していたのだ。
立ち上がる選手たちの姿を見て…
はじめはみんな無言で静かだった。10分後、時計を見て時間を確かめる者がちらほら出始めた。私はキャンプで携帯電話の使用を禁止していた。そのころ選手たちはまだ、携帯電話をいつ、どのように使うべきかをよく理解していなかったからだ。携帯電話で気を紛らわすこともできず、正式なミーティングが始まるという窮屈な思いをしながら、彼らは次第に落ち着きをなくしていった。