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「隠しカメラで選手を観察した」エディー・ジョーンズが日本の選手を“あえてイラつかせたワケ”「上からの命令に従う文化を変える」
text by
エディー・ジョーンズEddie Jones
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/09/18 17:01
2012年から2015年まで日本代表を率いたエディー・ジョーンズ。日本選手を追い込む姿勢の裏にはある信念があった――
「練習より簡単だったよ」
私はこの瞬間を誇りに思った。ここ一番の戦いに備えて、選手たちにハードワークを課すことが私の仕事だからだ。選手たちは大舞台でのラスト1分の白熱した戦いをある意味で楽しんでいた。厳しい試練とトレーニングで、鍛えられていたからだ。ビジネスで難しい会議に臨む場合も同じだ。プレッシャーに耐えられないなら、準備が不足しているということだ。
もし私がまた日本のコーチに戻ったら…
我々は長い時間をかけてチームを鍛えた。ハードに、そしてスマートに。まずは午前5時、10時、午後3時から、1日3回練習をした。当初、選手たちはそれを嫌がった。4時30分にプロテイン・シェイクを飲むには、4時15分に起きねばならず、寝過ごすのが心配でぐっすり眠れなかったからだ。彼らは葛藤とストレスを感じていた。2週間の高地キャンプのときは、1日5回の練習を行った。1日3回のサイクルに戻したときには、選手たちは練習を楽にこなせるようになっていた。大会本番を迎えるころには、逆境と不安に耐えうる逞しさが備わっていた。
今では日本の多くのチームが午前5時から練習している。はっきりとした理由があるわけではなく、とにかくそうすることが正しいと考えているのだ。もし私がまた日本のコーチに戻ったら、この新しい伝統をとりやめ、何か別の方法を探すだろう。選手にもチームにも、何か特別だと感じるものを見つけて、他とは違うことをしていると感じさせたいからだ。
そのためには、健全な対立意識と、この章で説明してきたことを受け入れる必要があるのだ。
<つづく>