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話題の慶応…実際どれほど強いのか？ 敗れた土浦日大の選手・監督が証言「“イヤらしい”チーム」「甲子園初日に森林貴彦から1本の電話」
posted2023/08/22 06:00
「慶応は“それ”をわかっていた…」。敗れた土浦日大の監督・選手が証言する慶応の野球とは
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
春の慶応にはなくて、夏の慶応にはあったもの。それが2−0というスコアにつながった。
素材のよさと、データ収集および分析力は従来通りだった。
「慶応は“それ”をわかっていた…」
目を真っ赤に腫らし、「逃げ腰になってしまった……」と振り返ったのは、土浦日大の先発投手、伊藤彩斗だった。伊藤は初回、慶応の注目の先頭打者、丸田湊斗に対し、いきなりストレートの四球を与えてしまう。
「僕らも茨城で勝ってきたんですけど、向こうは神奈川で優勝しているので、ぜんぜん格上だという先入観があって。自分の最初の入り方が、嫌な流れをつくってしまった」
また、慶応のデータ分析能力の高さは、相変わらずだった。監督の小菅勲は、こう脱帽した。
「向こうに攻略されるとしたら、こういうされ方だろうなということを全部やられて、リズムに乗れなかった」
まずは2番の太刀川幸輝を初回の1安打に抑え込まれた。小菅が言う。
「うちのキーマンは太刀川ですから。彼がつないで、県大会も勝ってきましたし、甲子園でもそうだった。慶応はそれをわかっていて、完全に中軸だと思って抑えにきていた。太刀川がつなげば点が入ると思っていたんですけど、あの太刀川が打てないのではしょうがないなという思いもありました」
また、3回途中から伊藤をリリーフしたエースの藤本士生に対しても、自分だったらこう打つだろうと思う攻略法をそのままやられた。小菅が続ける。
「慶応の打者はカウントを取りにくる変化球をねらっていましたよね。ストレートは詰まって、ファウルになっていましたから。普通、途中で迷ったりするものなんですけど、それを最後まで迷わずに貫いてきました」
春は土浦日大が勝利…何が変わったのか
土浦日大は、この春の練習試合で慶応に勝利していた。そのときの慶応との違いを「3番・ショート」の後藤陽人は、こう感じ取っていた。
「イヤらしい野球をするようになりましたよね」
監督の小菅を驚かせたのは2−0と慶応の2点リードで迎えた7回裏、1アウト三塁から、4番打者がスクイズを仕掛けてきたときだ。
