“仙台育英スクイズ→セーフ判定前後の動揺”を悔やむ神村学園「自分を見失った」「切り替えの声掛けが…」研究されても強い“王者の揺さぶり”

　捕手のタッチより、わずかに早くホームベースに触れた――という球審の判定だった。神村学園を下して2年連続で決勝進出を決めた仙台育英の決勝点はセーフティスクイズだった。

3回、仙台育英のスクイズがこの試合の決勝点となった　©JIJI PRESS

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相手走者のスライディングも上手かったです

　2回裏に7番・登藤海優史選手のタイムリーで同点に追いついた仙台育英は3回、先頭の2番・山田脩也選手が安打で出塁する。3番・湯浅桜翼選手の2球目。山田はスタートを切って盗塁を決め、相手捕手の悪送球も重なって三塁まで進んだ。

　湯浅はショートゴロに倒れ、打席に迎えたのは4番・斎藤陽選手。カウント1ボールからの2球目に対し、斎藤はバントの構えから三塁方向へ打球を転がした。打球の方向を確認した三塁走者の山田が本塁へ走る。打球を捕った三塁手のトスとほぼ同時に本塁へ滑り込んだ山田が左手でホームベースをタッチ。勝ち越しに成功した。初回の無死二塁でも、2回の無死一塁でもバントの構えを見せなかった仙台育英が、セーフティスクイズを選択したのだった。

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「スクイズがくると思っていましたが、セーフティスクイズは予想していませんでした。高めに外しきれなかったですね。相手走者のスライディングも上手かったです」

　こう振り返ったのは、神村学園の小田大介監督だ。

神村学園・小田監督　©Hideki Sugiyama

　仙台育英の須江航監督が4番打者にスクイズを出す空気を感じ取っていたが、防ぎきれなかった。

　打球を転がせば三塁走者がセーフになる可能性が高いスクイズと違い、セーフティスクイズは打球の転がった方向や強さによって三塁走者がホームへ突っ込むかどうかを判断する。相手バッテリーに投球を外されて走者が三塁と本塁間に挟まれるリスクはない一方で、走者を還す精度の高いバントが求められる。その技術を打線の中心を担う4番打者もこなせるところに仙台育英の強さがある。

仙台育英の攻撃に自分を見失ってしまいました

　勝ち越し点を許した神村学園の2番手・黒木陽琉投手は「スクイズは頭に入っていましたが、上手く転がされてしまいました」と肩を落とした。そして、続けた。

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