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「どうする早稲田」大学ラグビー王者・帝京にまたも完敗…“油断なき才能軍団”との差は埋まるのか?「帝京はどこまで強くなる気なんだ」
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![生島淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/-/img_746f83dd4814ce9e272d231112e07dfb3376.jpg)
生島淳Jun Ikushima
photograph byYuka Shiga
posted2023/07/06 11:00
![「どうする早稲田」大学ラグビー王者・帝京にまたも完敗…“油断なき才能軍団”との差は埋まるのか?「帝京はどこまで強くなる気なんだ」<Number Web> photograph by Yuka Shiga](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/8/5/700/img_8572b6974a05deb4a85668d669018407195699.jpg)
春季大会の最終節で帝京に21-60と完敗を喫した早稲田。大田尾監督がキーマンに指名する主将の伊藤大祐(左)にとっては学びの多いゲームだった
早稲田のアタックの設計は粟飯原がクラッシュし、そこでポイントができることを想定していたようだ。ところが、案に反して粟飯原が抜けてしまい、孤立しそうになった。そこにLO田中勇成(2年・早実)、CTB守屋大誠(3年・早実)が最短距離をとってなんとかボールを確保したプレーは高く評価できる(恐ろしいことに、モニターで確認すると、帝京はこのブレイクダウン周辺に10人の選手が映っている。ラインブレイクされた後の戻りが異常なほど早い)。
早稲田は、想定外に抜けた後の準備が不十分だったのか、次のフェイズで帝京にターンオーバーを許してしまう。
このアタックで早稲田がトライを取り切れていたとしたら、緊張感は持続し、より強度の高い試合が持続していた可能性は高い。
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しかし、帝京の分厚いディフェンスが早稲田のトライを許さず、前半を終了してスコアは0対33。帝京は余裕をもって後半に臨むことになった。
もう少し聞きたかった大田尾監督の「本音」
試合後の会見で早稲田・大田尾竜彦監督は淡々と語った。
「この先の夏、秋に向けてどういったトレーニングをしていかなければならないのかというのが、すごく明確になったという意味で、非常に収穫は大きかったです」
ただし、収穫に関する輪郭は漠然としたものだった。
「ラインブレイクの数は結構あったと思いますし、最後にどうやってフィニッシュに持っていくか、誰がボールを触ったらどうなるのかというところですね。スクラムはかなりプレッシャーを受けましたが、ブレイクダウンのところはきちんと整理すればやれるという感覚があります」
会見ではなく、囲みでフリーに質問できる形だったら少し違った反応が見えたかもしれないが、主将のSO伊藤大祐(4年・桐蔭学園)と副将のCTB岡崎颯馬(4年・長崎北陽台)と並んでの会見では、ネガティブな発言は避けるのは監督として当然だろう。
もう少し、大田尾監督の「本音」を聞きたかったところだが……早稲田としてみれば、修正点は明確と言えなくもない。