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〈卓球女子なぜ大混戦〉水谷隼が伊藤美誠が抱える“ジレンマ”を代弁「あっさり負けることが多くなった」パリ五輪シングルス代表の行方は?
posted2023/06/21 17:01
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Itaru Chiba
2022年3月から始まった日本卓球女子のパリ五輪代表選考レースは、現在、早田ひながポイントランキングで独走し一歩リードしている状況だが、シングルス代表の座を争う2位以下は大混戦となっている。そこで気になるのが、東京五輪で夏季五輪日本女子初となる金銀銅メダルを獲得したエース・伊藤美誠の状態だ。
伊藤は第1回選考会で5位と出遅れると、22年8月のノジマカップで準々決勝敗退、同11月の第3回選考会もベスト8で敗退。今年1月の全日本選手権ではベスト16で高校生の横井咲桜に敗れ、5月の第4回選考会でもベスト16で姿を消した。
世界ランクでは日本勢最高位の7位につけているが、5月下旬の世界選手権前までの五輪選考ポイントではなんと7番手に。同大会でベスト8入りを果たし、選考レースでは3位に浮上したものの、6月18日に行われたTリーグ個人戦・ノジマカップ女子シングルス決勝では選考レース2位の平野美宇にフルゲームの末に準優勝に終わり、ポイントでは21.5点まで差を広げられる形になっている。
「本来であれば少し休憩する時間を…」
日本人で初めて五輪シングルスのメダリストとなるなど第一人者として卓球界を牽引してきた水谷隼さんは、東京五輪の混合ダブルスで共に金メダルを獲得した伊藤の現状をこのように語る。
「東京オリンピックに向けて一生懸命準備してきて、本来であれば少し休憩する時間も必要だったんでしょうけど、すぐにパリオリンピックに向けて準備をしなければならなかった。しかも、今回は東京までのオリンピックとは異なって、世界ランキングの上位2名が選ばれるのではなく、独自の国内選考システムが採用されるなかで戦わなければいけない。伊藤選手に限らずですが、海外の選手のみならず、これまで以上に国内の選手にも、勝つ準備、対策が必要で大変だったと思います」