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加藤豪将は“マイナー苦節10年”で何を得たのか?…MLB担当記者が振り返る、華奢な青年が“メジャーリーガー”になるまで「こちらが恐縮するほど丁寧に頭を下げ…」
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/13 11:03
NPBの日本ハムで活躍を見せる加藤。アメリカ生まれ、アメリカ育ちの彼をプロ入り後から取材してきたMLB担当記者が「10年間」を振り返る
その後、パドレス、ブルージェイズへ移籍し、メジャーキャンプに招待された際には、本職の二塁・遊撃用だけでなく、ファーストミット、外野用など、複数のグラブをバッグに詰め込んでキャンプ地へ向かった。
「何でも出来るというところを見てほしいです」
1人の選手として、メジャーへ昇格したい気持ちは、もちろん強い。その一方で、チームに求められ、どんな形でも勝利に貢献できる理想の選手像が、加藤の頭の中で徐々に固まっていった。
サンプルとして少なすぎるメジャーの「8試合」
ブルージェイズに所属した昨年4月。10年目で初めて開幕ロースター入りを果たし、同27日にはメジャー初安打となる二塁打を記録した。その後、マイナーへ降格し、戦力外となった5月にはメッツへ移籍した。プロとして、10年目のシーズンが終わった。
「8試合、11打席、7打数1安打、打率1割4分3厘」
加藤がメジャーで残した成績は、サンプルとしてはあまりにも少ない。ただ、加藤の能力を数字だけで計る必要はない。
どんな環境でも、常にプラス思考を忘れず、チームを鼓舞し、野球と真剣に向き合う加藤の姿勢が、今後も変わるとは思えない。
一度きりの野球人生。
米国育ちの野球小僧が日本球界に新たな風を吹き込んでいるとすれば、これもまた「サクセス・ストーリー」と呼んでいい。
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