濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
フワちゃんのプロレスは“芸能人の挑戦企画”を超えた? 美しいフォームと受身、コメントから見えた“真摯さ”「覚悟が決まるまで大口叩かない」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySTARDOM
posted2023/04/24 17:05
プロレスデビュー2戦目、林下詩美に卍固めを決めるフワちゃん
葉月、有田からのアドバイス「ちょっと違う方向に行ってる」
ハードルが上がった2戦目、「技を増やさなきゃ、派手なことしなきゃ、衣装も……」と焦っていたそうだ。そんな時に葉月や有田が「ちょっと違う方向に行ってる。きれいな技をお披露目したいんじゃなくて、勝ちたいんだよね?」とアドバイスをしてくれた。
練習してきたが試合では出さなかった技もあるという。出さなかった理由は、基本に忠実な試合をするため。それに「体力が続かないから」。その判断ができていたとも言えるし、まだ体力に課題があるとも言える。
「点数は90点。私自身、前回よりプロレスへの愛があったし、林下さん、天咲さんも愛を持って闘ってくれた。でも勝つことができなかった」
だからこそ、簡単に「次」を口にできない。
「負けるたびに“またやりたい”って言うだけでは考えが足りないのかなって。その甘さも負けにつながったのかもしれない。勝つにはどうすればいいか、もっとじっくり考えて。やるからには勝ちたいので、その覚悟が決まるまでは大口叩かないでじっくり」
フワちゃんのコメントから見える「プロレスへの真摯さ」
仕事の時間ギリギリまで練習して、着替えもせずに現場に向かう毎日。試合前日も、葉月と「最終追い込み」に励んだ。現実的に考えて、この生活を続けるのは相当に難しい。練習だけでなく試合の経験を積み、“場数”を踏むことも必要なのだが、今の多忙さではそこまで望めない。試合の翌日も『ヒルナンデス!』と『オールナイトニッポン0(ZERO)』の生放送が待っている。「ワンチャン休めないかな」は本音だろう。
現状における限界はどうしてもある。やればやるほどプロレスが好きになるから、余計に安易なことはできないと感じる。弱気にも映るコメントはプロレスに対する真摯さゆえだ。
「よく頑張りました」で終わることを、フワちゃん自身が拒んだのだとも言える。プロレスは感情を、喜怒哀楽すべてを表現するジャンルだ。葛藤を見せるところまで含めて、フワちゃんの2戦目は優れたプロレスだった。我々としては、やはり“次”が見たくなるのである。
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