猛牛のささやきBACK NUMBER
吉田正尚「大谷はヤバイ、俺なんかリトルリーガーや」いやいや、何をおっしゃる…実はヤバイ“120億円の男”の仕事っぷり〈大谷と同じ8打点〉
posted2023/03/14 11:06
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Reuters/AFLO
吉田正尚なら、なんとかしてくれる。
周囲にそう思わせる頼もしさは、WBCでも、オリックス時代とまったく変わらない。
WBC第2戦の韓国戦では、2-3とビハインドだった3回裏1死満塁の場面で、韓国のウォン・テインのチェンジアップをセンター前に弾き返し、逆転の2点タイムリー。大谷翔平が歩かされても、村上宗隆が倒れても、吉田正尚がいる。絶大な安心感を与えた。
その後も打席のたびに打点を積み重ね、この日はチームトップの3安打5打点で勝利に大きく貢献した。
第3戦は、チェコの先発O・サトリアを日本のバッター陣が打ちあぐねる中、吉田は1打席目の3球目をきっちり捉えてセンター返し。3回裏2死一、二塁の場面では、レフト線への逆転2点タイムリーを放った。
初見の投手との対戦が続く国際大会では、吉田の対応力が大きな武器。そのお手本のようなバッティングが日本打線の道しるべとなっている。
1次ラウンドの4試合を終えて、打率.417。8打点は、大谷、台湾のジャン・ユーチェンと並ぶ全体1位だ。オリックスで7年間磨いてきた、「強くスイングしながら確実にコンタクトする」という能力を、今大会もいかんなく発揮している。
代表合流は初戦のわずか4日前
チームに合流してまだ間もないとは思えない。今季、オリックスからメジャーリーグのボストン・レッドソックスに移籍した吉田が、キャンプ地であるフロリダ州フォートマイヤーズから帰国し、代表に合流したのは3月5日。WBC初戦のわずか4日前だった。チームと共有できる時間は少なく、移動の疲れや時差ボケもあっただろう。それでも何事もなかったかのように結果を出す姿にはさすがとしか言いようがない。
だが実は吉田も、日本代表への合流直後は衝撃を受けていた。