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三笘薫は「計算され尽くした走り方」「筋肉バランスがいい」陸上レジェンド・朝原宣治が語る“相手を置き去りにする”異次元スピード分析

posted2023/01/24 06:00

 
三笘薫は「計算され尽くした走り方」「筋肉バランスがいい」陸上レジェンド・朝原宣治が語る“相手を置き去りにする”異次元スピード分析<Number Web> photograph by Getty Images

朝原宣治氏「三笘選手の走り方はあらゆるスポーツで理想形といえます」

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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イングランド1部ブライトンに所属する日本代表MF三笘薫。W杯カタール大会、そして世界最高峰のプレミアリーグで見せる、あの“相手選手を置き去りにする”異次元スピードはなぜ生まれるのか。2008年北京五輪の4×100mリレーで銀メダルを獲得した朝原宣治に「三笘の走り方」を解説してもらった。

――ワールドカップ、そしてプレミアリーグでの活躍で三笘薫選手に高い注目が集まっています。

朝原 やっぱりあのドリブル突破は見ていてワクワクしますもんね。それにアシストも絶妙で、シュートも打てる。つくづく素晴らしい選手だなと思います。

――今日は三笘選手の「スピード」についてうかがっていければと思います。まず走り方にはどのような特徴がありますか。

朝原 三笘選手の走り方は、陸上の短距離選手と大きく違う点があります。それは足が地面につく接地の仕方。かかとから着地する「かかと接地」、足の裏全体で着くイメージの「フラット接地」、つま先の「つま先接地(フォアフット)」に大別できますが、短距離選手はほとんどがつま先。一方、三笘選手の着地は多くの場合がかかとかフラットで、細かくドリブルするときだけつま先接地なんです。

「かかと接地」なのになぜ速い?

――イメージですが、つま先接地のほうが前方への推進力が高まるような気がします。

朝原 事実、現在の陸上短距離界では一般的に「フォアフット」のほうが好ましいといわれています。それでもなぜ三笘選手がスピードを出せるのか。その理由は大きく2つ考えられます。

 1つ目がストライド(歩幅)の大きさです。一歩一歩が力強く、距離があるので初速が出やすい。相手選手の重心が進行方向逆側に傾いた瞬間に、大きな一歩を踏み出してスイッチを入れています。20、30mくらいの短い距離では、大きなストライドで押していける。ただ、50、100m以上になるとピッチを上げながら加速の必要が出てくるので変わってくるのですが。

――なるほど。たしかに三笘選手は他のサッカー選手に比べても歩幅が大きい印象があります。

【次ページ】 トップスピードからなぜ「止まれる」?

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