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「大谷翔平です。よろしく」花巻東→日ハム後輩・岸里亮佑は“同部屋で大谷と何を話した?”ドラフト当日「どこまでついてくんだよ!」と電話口で…

posted2022/12/28 11:01

 
「大谷翔平です。よろしく」花巻東→日ハム後輩・岸里亮佑は“同部屋で大谷と何を話した?”ドラフト当日「どこまでついてくんだよ!」と電話口で…<Number Web> photograph by SPORTS NIPPON / JIJI PRESS

花巻東時代の大谷翔平。高3の時には最速160キロも計測した

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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SPORTS NIPPON / JIJI PRESS

 大谷翔平を最も近くで見てきた元日本ハム外野手の岸里亮佑さん。偉大な先輩の思い出、自身が直面した「プロの壁」と戦力外通告、セカンドキャリアについて聞いた。《全2回の1回目/後編につづく》

 それがナンセンスだとわかっていても、ふと考えてしまう。

 もし、あのときに戻れたら――。

 岸里亮佑27歳。2019年に日本ハムから戦力外通告を受けた元プロ野球選手である。NPBを離れて3年が過ぎた今も、あのとき部屋でひとり襲われた焦燥感を鮮明に覚えている。

「ケガで練習ができない、一軍から呼ばれない。そんな状況でも焦っちゃだめだと思うんですよね、今思えば」

 岸里は岩手県久慈市で生まれ育ち、小学1年生で野球を始めた。中学時代は岩手県選抜の「エース兼4番」として東北大会準優勝。野球と並行して続けた陸上でも100mで県3位に入賞するなど、その身体能力の高さは県内外から注目を集めていた。走攻守揃った選手として多くの強豪校から誘いを受けたが、地元の花巻東高校を選んだのは「いとこに同校OBがいたこと」に加え、中学2年生だった09年夏の甲子園の熱狂を目の当たりにしたから。当時のエース菊池雄星が率いたチームは「県勢90年ぶりのベスト4入り」を果たし、岩手県民を沸かせた。

 入寮初日。割り当てられた「11号室」に岸里が入ると、ベッドからにょっきりとはみ出した足が目に入った。「あれ、間違ったかな」。廊下に出て迷っていると、その11号室から「ひょろりとした長身の男」が現れ、つかみどころのない独特のトーンで言った。

「大谷翔平です。よろしく」

 同部屋の相手は大谷だった。

「11号室は菊池さん、翔平さんが過ごしたエース部屋、別名『出世部屋』と言われていたことは後に知りました」

 大谷の1学年下にあたる岸里は、硬式出身の大谷と異なり軟式の中学野球部出身。入寮2日目に初めてそのプレーを見た瞬間、唖然とした。

【次ページ】 大谷が仕込んだブーブークッションのいたずら

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