濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「フェリス卒のお嬢様vsセクシー女優」は熱戦に…スターダム人気女子レスラー・桜井まいの色気と狂気「私は“大人の魅力”で勝負できる」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/11/18 11:01
『NEW BLOOD 5』で実現した桜井まいvsちゃんよた
「もの凄く濃い時間で“まだ1年なんだ”という感じです。5★STARでは強い選手とたくさんシングルマッチができた。それも同門だったり、前に所属していたコズエンの選手だったり、テーマのある試合が多くて。
勝った試合に関しては、夢じゃないかって思う反面、DDMで厳しい練習をしたんだからっていう気持ちもあります。まだまだできていないこともたくさんありますけど、強くなってるんだなって。自分としては目の前の試合に必死なだけ。それでも気がついたら力をつけてたんだと。それはジュリアにも言われました」
ジュリアは桜井の成長について、こう語っている。
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「もちろんまだまだですよ。いつもうるさく言ってばっかりです。でも桜井がここまできたというだけでも、私が今年に入ってやってきたことには意味があった」
桜井はフェリス女学院卒。この肩書きは人前に出る仕事をしている限りついて回るだろう。お嬢様育ちでおっとりしていると言われることもあるし、同時に負けん気が強く、勝負事に熱くなる性格でもあるという。実力が上がるにつれて、後者が目立つようになってきた。髪を切り、黒のコスチュームを着ることでイメージもずいぶんシャープになった。
“フェリス卒のお嬢様vs.セクシー女優”
スターダムの若手主体興行『NEW BLOOD』では、桜井ならではの立ち位置を作りつつある。8月大会では“女王様”LINDA(信州ガールズプロレス)と組んで鞭を振るい、スターダム創設者のロッシー小川氏を痛めつけた。桜井曰く「ロッシー、あれは喜んでましたね」。
10月19日の『NEW BLOOD 5』も他団体の選手と遭遇。PPP所属のちゃんよたとシングルで対戦した。
ちゃんよたはYouTubeの筋トレ動画が話題となり、アダルトビデオにも出演。いわゆるセクシー女優だ。さらに昨年9月、プロレスラーとしてデビュー。多彩な活動のテーマは“生き物として強くなる”ことだという。11月3日には、話題の“1分間格闘技”Breaking Downにも出場し、勝利を収めた。
『NEW BLOOD 5』がスターダム初参戦だったが、会見から存在感を発揮。ロッシー小川氏を背負ってスクワットのパフォーマンスを見せ、映画『ロッキー』ばりに生卵をジョッキでガブ飲み。メジャー団体にまったく物怖じしないちゃんよたに負けじと、桜井はなぜか生肉(馬肉)にかぶりついた。「私もバラエティ番組で(AV男優の)しみけんさんにセクシーだって言われてるので」と、あらゆる面で張り合う桜井。
両者はリングでもうまく噛み合った。打撃の打ち合いはそのまま意地の張り合い。対抗意識が強く出た試合だから、アルゼンチン・バックブリーカーなどちゃんよたのパワフルな攻撃がいつも以上に際立った。
桜井の覚悟「みんながやらないことをやる選手になりたい」
ちゃんよたは大きな団体に乗り込んでインパクトを残したい。桜井はホームリングで外部の選手に負けたくない。最後は桜井が得意技マイパンロールで勝利したが、新たなライバル関係のスタートを感じさせる好勝負だった。試合後、ちゃんよたは桜井にタッグ結成を呼びかけている。