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日本人王者対決は激闘に…2団体統一・寺地拳四朗の名参謀が語った勝因とは?「京口選手の怖いところは…」「あの回は助かりました」
posted2022/11/03 11:02
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
11月1日、日本人選手による10年ぶりの2団体統一戦がさいたまスーパーアリーナで行われ、WBCライトフライ級王者の寺地拳四朗(BMB)がWBA同級スーパー王者の京口紘人(ワタナベ)に7回2分36秒TKO勝ちした。実力伯仲の王者対決を制したポイントは何だったのか。見どころ満載の好ファイトを、寺地陣営の戦略から読み解いていく。
京口戦に向けて寺地が磨いてきた武器とは
今回の試合が決まったとき、寺地の参謀役を務める三迫ジムの加藤健太トレーナーはあるシーンを思い出したという。それは2018年12月、後楽園ホールで行われた寺地と京口のスパーリングだった。
「あのスパーリングは1ラウンド目がよくなかったんです。ジャブの相打ちで『おっとっと』と後ろにバランスを崩してしまうような感じ。ああなるのが一番怖かった。今までの拳四朗のボクシングだとそうなる危険性がありました」
「今までの拳四朗」とはぴょんぴょんと飛び跳ねるようなフットワークで激しく出入りを繰り返すボクシングのこと。これで世界王座を8度防衛したのだから問題はなさそうにも思える。しかし、加藤トレーナーは跳ねる動きは下がるときに体が浮きやすいと感じていた。プレッシャーが強く、パワーもある京口と対戦したとき、これが致命傷となることを恐れたのだ。
では、具体的にどうするのか。加藤トレーナーの解説はこうだ。
「ジャブは左足を前に出して打つパンチですが、以前は左足で引っ張ってパンチを出すイメージでした。でも、左足で引っ張ると跳ね返りで体が浮く。だから後ろ足(右足)で押し出す。後ろ足で押し出して前足(左足)はブレーキ。こうすれば体は跳ばないし、浮きません。
さらに今まではジャブ(左手)の距離感を大事にしていたんですけど、今回は右手の距離感を意識しました。つまり右をいつでも打てるような距離感でジャブを打つ。今回はこの動きを徹底して練習しました。ジャブが強く、いつでも右が打てて、重心が浮かないボクシングです」