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野球クロスロードBACK NUMBER
センバツ当確の東北高で“まさかの大改革”…元巨人の新監督「ヒロシさん」の指導でエース・ハッブス大起が覚醒「本当に新しい感覚」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2022/10/23 08:01
東北大会準Vでセンバツ出場を当確させた東北ナイン。新監督「ヒロシさん」の改革とは?
監督に就任してからのヒロシは、試合後の囲み取材で必ずと言っていいほど、この想いを発信し続けている。
自身の母校でもある東北高校に在籍していた頃から、違和感は蓄積されていた。79年から4季連続で甲子園に出場し、3年春にベスト8。夏も2勝を挙げた。
「なんで、ベスト8から勝ち上がれなかったんだろう?」
高校卒業後は社会人野球の電電東北(のちの現・東北マークス)、1984年にドラフト4位で巨人に入団してからも、もやもやとした気持ちや煩悶はヒロシのなかでずっと漂っていた。
その答えが見え始めてきたのが、プロ野球を引退後に少年野球のスクールで教えるようになってからだという。
ヒロシの言葉に熱がこもる。
「少年野球を見ていて、『なんで子供たちは楽しそうに野球をしているのに、監督は怒ってばっかりいるんだろう?』って。子供は笑顔があって生き生きしているのに、それを大人たちが消してることが多いと感じたんです。野球を通して学べることはたくさんあるのに、なってないことが多いなと。筒香(嘉智)選手はそういうことを積極的に発信してくれていますけど、こういう現場の声って伝わりづらいんだなとは思っていました」
野球に限らず、指導者は実績を求めがちだ。そこが評価の対象である以上、当然といえば当然だが、ヒロシが警鐘を鳴らすのは「行き過ぎた」指導だ。
少年野球の世界でも強豪ともなれば優勝にこだわる。そうなると、優秀な選手を優先的に起用せざるを得なくなり、故障の一端となってしまうことも少なくないはずである。
「小中で肩やひじを故障してしまうと、高校で再発する確率が高くなるんです。だからこそ、子供たちの将来を見据えた指導というのが大事になってくるわけです」
ハッブス大起が驚いた監督の助言
少年野球での指導を経て高校野球の監督となったヒロシが、選手を導く上で最も大事にしていることは、コミュニケーションを密に取っていくことだ。
この方針によって飛躍の光明を見出した選手が、エースのハッブスである。