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「日本代表が戦う姿はカッコいい」平成の怪物にして日本のエース・松坂大輔が憧れたキャプ翼と日の丸ユニフォーム
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/21 11:00
――過去最高ということは、W杯のベスト8ですね。
松坂 ファン目線で言うなら、グループステージを勝ち抜くためには力の落ちる相手と対戦するほうがいいのかもしれません。でもベスト8と言わず優勝を目指すのなら強いも弱いも関係ない。スペイン、コスタリカ、ドイツを倒して、ブラジルとかフランスとか、そういう強いチームと戦うところを見たいですね。
――松坂さんはシドニー五輪で4位、アテネ五輪で銅メダルを獲得しましたが、いずれも準決勝で敗れました。そして、その後のWBCでは二度とも準決勝の壁を超えて連覇を果たした……突破できなかった壁を超えるために必要なものは何だと思いますか。
松坂 ああ、そうか……なるほど、確かに準決勝の壁ってありましたね。いやぁ、難しいな。野球の場合はピッチャーと野手で感じ方は違うかもしれませんが、負けられない予選を戦ううちに、毎日、試合に出なくちゃいけない野手の人たちは疲弊してしまうのかもしれません。ただ僕は、たとえばずっと勝たなきゃいけない気持ちを持っていたとしても、その気持ちがバテるということはないんです。メンタル面でのスタミナというんですかね。
厳しい練習がメンタルを鍛える
――メンタルのスタミナ?
松坂 高校時代も、春のセンバツで優勝してから、負けちゃいけないというものを背負わされて戦ってきました。公式戦で一度も負けていないという中で、秋の明治神宮大会から春夏の甲子園、秋の国体まですべて優勝しましたが、勝ち続けなきゃいけないと思い続ける負担は、途中からはなくなっていましたね。勝ち続けるしんどさはありませんでした。
――どういうふうに考えたら、そんな気持ちになれるんですか。
松坂 何ですかね……普段の練習がキツすぎて、試合のプレッシャーがなかったのかな。試合は休めるものだと思っていましたし(笑)、もちろん甲子園のPL学園との延長17回のようなキツい展開の試合もありましたが、練習のほうが精神的な負担は遥かに大きかったので……練習以上にしんどいものはなかったし、だから試合で緊張することもなかったんだと思います。