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「見たことのないラテンを作りたい」ルール改正も、アイスダンス村元哉中&高橋大輔が見せた自信の理由「僕達らしい雰囲気を」
posted2022/09/19 06:02
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Kiichi Matsumoto
「完璧にできればすごくカッコイイ。特に今季は、パターンダンスが無くなって、コレオシークエンスになるので、僕達らしい雰囲気を最初から出せると思います」
アイスダンス転向3季目となる高橋大輔は、新リズムダンスのお披露目に向けて自信を垣間見せた。その根拠となるのはルール変更だ。
もともとアイスダンスは「規定」と呼ばれる決まった足順を滑る種目と、オリジナル、フリーの3日間で行われていた。
規定では全組が同じ課題を滑るため、技術差がはっきりと出る。男女シングルではエンターテイメント性が低いことから1990年、図形を描く「規定」は廃止。それでもアイスダンスでは基礎を重視し、名称を「パターンダンス」に変えて課題は残されていた。
そのパターンがシニア課題から消える、つまり100年以上続いた「規定」の概念がフィギュアスケートから無くなるのだ。一方で、技術の判定がなくGOE(出来栄え)だけで評価される「コレオ」が加わり、自由度は高まった。
「見たことのないラテンを作りたい」
村元哉中&高橋組は、男女シングルからの転向組。だからこそ2人はこの改正をチャンスに変えようと、リズムダンスの独創性に注力した。
「見たことのないラテンを作りたいと思い、ストリートアーバン系のスタイルも入れました。選曲は難しかったけどユニークなプログラムに仕上がったと思います」(村元)
振付師には、ラテン以外のダンサーも含め6人の名が連ねられた。
「各界に精通している方々からアイデアをいただき、新しいものを融合していくうちに名前が増えていきました」(高橋)
初披露は8月26日の「フレンズオンアイス」初演。冒頭は高橋の情熱的なステップを目立たせ、中盤では村元の滑りの伸びやかさが生かされる。最後のミッドラインステップは、手拍子必須のクライマックスとなった。
「アップテンポでハードだからこそ、完璧に仕上げたい気持ちでモチベーションも高いです」(高橋)
規定の完全撤廃のなか、その重要性を問う議論は必要な一方で、転向組だからこそ切り開ける魅力もある。岐路を迎えるアイスダンスで2人の開拓力が問われている。