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『G1』連覇オカダ・カズチカがIWGP挑戦権利証の“防衛戦撤廃”を訴えたワケ「この大会の価値って、そんなものじゃないでしょう?」
posted2022/08/20 11:02
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「やっぱりオカダかな」「いや、オスプレイかな」――そんな思いが交錯した33分53秒の攻防だった。
8月18日、日本武道館で行われたオカダ・カズチカとウィル・オスプレイの新日本プロレス『G1 CLIMAX 32』決勝戦はスリリングだった。今年のベストバウト(年間最高試合)だという声もたくさん聞こえてきた。
万全の“オカダ対策”を練ってきたオスプレイだったが…
「もちろんオスプレイが勝つチャンスもあったと思いますし、タマ(・トンガ)もそうですし、Aブロックにもたくさん強いのがいました。(勝てたのは)本当に経験の差なのかなと」
オカダには修羅場を潜り抜けてきた実感があった。この武道館3連戦の初日にはAEWのランス・アーチャーに競り勝ち、2日目の準決勝ではジェイ・ホワイトを倒して勝ち上がってきたタマ・トンガを突き放した。そして、3日目。オスプレイはオカダをこれでもかというほど研究していて、過去にオカダが苦杯をなめた対戦相手の得意技をここぞとばかりに駆使して挑んできた。ケニー・オメガ、AJスタイルズ、棚橋弘至……。
「ある意味、オスプレイの迷いだったのかなと思います。オカダ・カズチカを倒している相手の技を使ったからといって、勝てるわけではないです。もちろん、どの技も効きましたよ。ただ、ダメージがあった中で、オスプレイに迷いがあって、そこで一瞬の隙ができて、レインメーカーにつながったのかなと思います。そのレインメーカーも返されてしまったんで、まあ、強かった。本当に過酷でしたよ。この試合なら楽に勝てるだろうっていう試合は1試合もなかった。G1らしい、本当に熱い戦いができたんじゃないかなと思います」
何度もピンチを迎えたオカダだったが、最後はしっかりとレインメーカーでとどめを刺した。
「権利証の防衛戦をしない」と明言した意図
オカダはマイクを手にすると、来年1月4日の東京ドーム大会でのIWGP世界ヘビー級王座への挑戦を明言した。それは例年のように挑戦権利証の防衛戦を経た上でのものではなく、1.4ピンポイントでの挑戦だ。