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「凄い性格してんな」スターダム注目の新人・天咲光由(20歳)が見せた“スター性”…ジュリアを驚かせた“まさかの行動”とは? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/07/28 11:03

「凄い性格してんな」スターダム注目の新人・天咲光由(20歳)が見せた“スター性”…ジュリアを驚かせた“まさかの行動”とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

「超新星5番勝負」の第1弾としてジュリアと対戦した天咲。試合後にはまさかの行動に

対戦したジュリアの意図「潰す、育てる、試す」

 実績のあるトップ選手に新鋭が挑む、いわゆる“チャレンジマッチ”は、あくまで若い選手が主役だ。ただ同時に、トップ選手の技量や度量も問われる。言い方を変えれば腕の見せどころ。一方的に叩きのめすことも可能だし、相手の能力を引き出すような試合もあり得る。チャレンジマッチをどう“演出”するかも実力者の仕事なのだ。

 もちろん、ジュリアvs.天咲はジュリアの勝利に終わった。ただ彼女が攻めるだけの試合でもなかった。すでにQQのメンバーである天咲は、ユニット「Donna del Mondo」を率いるジュリアにとっては単なる後輩ではない。といって、ただの“敵”でもない。昨年、負傷欠場中のジュリアはデビュー前の天咲と練習したこともある。

 ライバルユニットの新勢力を“潰す”、同じ団体の後輩を“育てる”、あるいは注目の新人の力を“試す”。ジュリアにはさまざまな選択肢があったのではないか。そう聞いてみると、ジュリアは言った。

「潰す、育てる、試す。1試合の中にすべてを込めたつもりです」

必死で攻める天咲、受け止めたジュリア

 印象的だったのはファーストコンタクトだ。すぐには“技”に入らず、組み手争いからスタート。そこから両者はグラウンドの攻防を展開していった。天咲はタックルでテイクダウンを狙う。マウントポジション、スリーパーホールドで動きを封じるジュリア。

「道場の練習じゃないですけど、そういうものをやろうと。今(の天咲)は綺麗にやろうとしなくていいんですよ。綺麗に試合することから覚えてしまうと、形だけの選手になってしまうので」

 エルボーの打ち合い、そこから徐々に大技が出始める。天咲も大きく飛び上がってのダブルアーム式パイルドライバー「天聖」など、持っている技をわずかなチャンスの中で決めた。ジュリアが受け止めた、と言ってもいい。

 試合終盤、ジュリアはバックドロップ。しかしフォールにはいかない。コーナーに控えて天咲が立ち上がるのを待つ。さらに背後からのドロップキック、ミサイルキック。天咲が倒れたまま終わるか、立ち上がるか。それが試合の“見せ場”になった。

 天咲は立ち上がり、抑え込まれるとカウント2で返し、必死で反撃した。それを確認すると、ジュリアは「頑張れよ!」と声をかけてグロリアスドライバー。新人相手の試合だが、逆エビ固めのような“通常技”ではなく自身の得意技でフィニッシュしたところにもメッセージ性が感じられた。言葉だけでなく技もまたエールだった。

【次ページ】 ジュリアも驚き…天咲がとった“まさかの行動”とは?

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