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「投手・オオタニvsトラウトが実現する可能性も…」”WBC軽視”のアメリカが本気になった理由<トラウト主将に込めたメッセージとは?>
posted2022/07/25 17:02
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
エンゼルスの主砲マイク・トラウト外野手が、2023年に行われるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の米国代表キャプテンとして出場することが決まった。ロサンゼルス・ドジャースタジアムで開催されたオールスターゲームの前日に正式発表され、トラウト自ら米国代表への思いを語った。
「母国のためにプレーすることを楽しみにしている。僕にとっても、僕の家族にとっても大きな意味のあること。USAを胸に付けるなんてすばらしいこと。とても楽しみだ」
米国球界が「主将トラウト」で示した連覇への本気
代表監督が未定の段階ながら、世界中が注目するオールスター期間中に発表。米国球界が、改めてWBC連覇への強い意思を示したのが、「主将トラウト」だった。
2006年、第1回WBCの開催前、米球界には「エキシビション」「親善試合」のような空気が漂っていた。デレク・ジーター、アレックス・ロドリゲス(ともにヤンキース)、ケン・グリフィー・Jr(レッズ)をはじめ、ビッグネームが名前を連ねていたとはいえ、そのオフ、所属先が未定で、現役引退が取り沙汰されていた当時43歳のロジャー・クレメンス(アストロズFA)がロースター入りするなど、優勝を目指す真剣度については疑問符が付いていた。実績十分のメンバーだったとはいえ、いわばオープン戦の一環のようでもあり、各選手の調整遅れは明らかだった。それでも、おそらく負けるはずはない、と高を括っていた感は否めなかった。大会へのモチベーションは、事前合宿で結束を固めていた日本をはじめ、他国に大きな遅れを取っていた。
実際、試合前、侍ジャパンの洗練されたシートノックと連係プレーの反復を目にした米国バック・マルチネス監督は、驚きを隠せなかった。
「日本では、毎試合、こういうことをやっているのか」
結果は、第2ラウンドでは3試合で8得点と、看板の打線が沈黙して敗退。主催国のメンツは丸つぶれとなった。