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「勢いが通用するのはベスト8まで」イチローが見抜いた千葉明徳が超えるべき“壁”…監督主導→選手主導で何が変わった?
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/07/15 17:01
強豪校が揃う千葉県から甲子園出場を目指す千葉明徳
就任から7年目に入り、ベスト8入りできるチームのつくり方は見えてきた。さらに上を目指すには、何かを変えなければならない。ただ、「変わることを恐れていた」。
変化の結果、ベスト8にさえたどり着けなくなるリスクを恐れたのだ。
目の前に現れたスーパースターの導きで岡野監督のもやもやは晴れ、変化の道へと歩み出すことを決める。
活動休止中も生かされたイチロー効果
12月2日からの2日間、あらためてイチローの指導を受けた。走塁について具体的な助言をもらい、キャッチボールの1球目、バッティングの1スイング目から全力で取り組むことの重要性を説かれた。イチロー自身が練習の中で見せる一投一打が、言葉以上に説得力のある教材となった。
夢のような時間が過ぎ去ったあとの方針は、教わったことを「まずは全部やってみよう」。実践しながらチームに合わせてカスタマイズしていくつもりだったが、その取り組みは中断を余儀なくされる。
1月中旬、新型コロナウイルス感染再拡大の影響で部活は休止に。グラウンドに集まっての練習はほとんどできないまま2カ月近くが過ぎた。岡野監督は言う。
「2年前、初めてコロナで練習ができなくなったときも、選手個人に丸投げせざるを得ない期間がありました。休止明けはやっぱりマイナスの状態というか、野球どころではなくて、体力を戻すところからやり直す必要があった。でも今年は、個人の練習をしっかりやって、ちゃんとプラスにして戻ってきてくれたんです。イチローさんの影響も大きかったのだと思います」