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《2回TKOの圧勝劇》井上尚弥のあまりの強さに“ドネアに感情移入”する観客も… 大橋会長は感嘆「正直、調子はあまり良くなかった」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2022/06/08 12:00

《2回TKOの圧勝劇》井上尚弥のあまりの強さに“ドネアに感情移入”する観客も… 大橋会長は感嘆「正直、調子はあまり良くなかった」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

2回、井上尚弥がノニト・ドネアを沈めた瞬間。“モンスター”が戦前の予想を上回るほどの圧倒的な強さを見せつけた

「悔しいだろうな…」ドネアに感情移入する観客も

 あまりの圧倒劇だったからか、付近の客席から「ドネア、悔しいだろうな……」というつぶやきが聞こえてきた。ほどなくしてドネア・コールも沸き起こった。ドネアは日本でも愛されているボクサーだが、声援はそれだけが理由ではなかったろう。その場に居合わせた者たちがドネアに感情移入せずはいられないほど、モンスターの強さはあまりに際立っていたのだ。

 勝利の瞬間、我を忘れてリングインした大橋秀行会長は「正直に言うと調子はあまり良くなかった。接戦になると思っていて、まさかこんな展開になるとは思っていなかった」と打ち明け、「今までいろいろな試合があったけどベストバウトだったね」と満面の笑みを見せた。

 ベストバウトを作り出した最大の理由は井上の今回の試合にかける意気込みだったと言える。昨年12月のアラン・ディパエン(タイ)戦は、本人曰く「正直、モチベーションが苦しかった」。勝って当たり前の相手と、勝つか負けるか分からない相手では、やっぱり心持ちは違ってくる。

 井上の圧勝を予想する声の多かった第1戦とは異なり、今回は前回の激闘を受けての再戦で、目標とする4団体統一に王手をかける日本人初の3団体統一もかかっていた。モチベーションは第1戦よりも間違いなく高かった。

 井上は試合後のリングで「自分が目標としている4団体統一、それが年内にかなうとするならまだバンタム級で戦う。もしかなわないならスーパー・バンタム級に上げて新たなステージで挑戦したい」と宣言した。

 ここまでくればWBO王者のポール・バトラー(英)と4団体統一戦をして新たな歴史を作ってから階級を上げてほしい。それをファンも最も望んでいるだろう。ボクシングの歴史に新たな1ページを刻んだモンスターが、大きな夢をさらに膨らませた一夜だった。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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