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近江の選手「ホンマに明日、甲子園で試合すんのかな?」“落選ショック→繰り上げ出場→準優勝”…その時、選手&監督は何を思ったか?

posted2022/04/04 11:01

 
近江の選手「ホンマに明日、甲子園で試合すんのかな?」“落選ショック→繰り上げ出場→準優勝”…その時、選手&監督は何を思ったか?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

開幕直前で決まった繰り上げ出場――もう、「京都国際の代わり」と呼ぶ者はいない。彼らは本物のセンバツ代表校となった

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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Hideki Sugiyama

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 近江の多賀章仁は、その言葉を謝罪と受け取ることができなかった。

 もし、監督の自分が同じ立場だったら。

 相手を慮るような振る舞いはできない――純粋にそう感じていた。

 連絡してきたのは、京都国際の小牧憲継監督だった。センバツの開幕前日に部内で新型コロナウイルスの陽性者が多数判明したことで、大会への出場を辞退。近畿地区の補欠校第1位だった近江の繰り上げ出場が決まったことを受けての、両監督のやり取りだった。

“落選ショック”から始まったセンバツ快進撃

 辛く、勇気ある決断を、多賀が受け継ぐ。

 選手へのはっぱも、自然と熱くなる。

「野球ができることが当たり前やない。甲子園に出るチャンスを貰えたんだから、感謝してやろう。ここから感動発信しよう!」

 本来ならば、こんな形での出場を望んではいなかった。

 昨秋の近畿大会は、準々決勝で金光大阪に逆転負けを喫した。「あと1勝」でセンバツ当確を逃したが、同地区は7校の出場枠があるため近江が代表に選抜される可能性は十分にある。だからこそ、誰もが「センバツに出る」と信じ、準備を続けてきた。

 外野手の川元ひなたが言う。

「秋の負けは後半に点を取られたことが原因だったので。みんなで『冬はそこを改善していこう』と、7回、8回、9回を想定したノックとかを結構やりました。練習では何かあれば集合とかかけて話し合ったり、『絶対なんかある。絶対選ばれる』って、ホンマにチームがひとつになってやれていました」

 年が明け、練習初めの日。監督の多賀が、エースで4番のキャプテン・山田陽翔に「センバツに出たら5試合任せるぞ」と覚悟を決めさせる。センバツ発表の2日前となる1月26日にも、選手たちに念を押すように「絶対に選ばれるからな」と伝えていた。

 28日の発表日。しかし、近畿地区7校のなかに、近江の名前はなかった。

 監督が「すまなかった」と頭を下げながらも、「まだ諦めず、センバツに出るつもりで練習しよう」と士気向上を図る。キャプテンの山田も、「準備だけは怠らないようにしよう」とチームの和を正す。

落選直後「モチベーションは上がらなかった」

 だが、落胆は顕著だった。副キャプテンの津田基が当時の状況をつまびらかにする。

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