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打者・大谷翔平を抑える方法は? 日米通算170勝・岩隈久志が分析「とんでもないボール球でもホームランにするじゃないですか…」

posted2022/03/27 11:02

 
打者・大谷翔平を抑える方法は? 日米通算170勝・岩隈久志が分析「とんでもないボール球でもホームランにするじゃないですか…」<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平の「レフト方向の飛距離」を高く評価した岩隈久志。菊池雄星との対戦を例に出しながら、その凄さを語った

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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日米通算170勝を挙げた、かつての技巧派右腕は「打者・大谷」にどう対峙するのか? Sports Graphic Number』1040号(2021年12月2日発売)『元メジャーリーガーの勝負目線解説(3)]岩隈久志「外角の甘めには、絶対投げない」』を全文公開します。※肩書きなどはすべて掲載時

 大谷くんとはシーズン中に1回、シアトルのホームゲームのときに挨拶させてもらいましたけど、「ケガしないで頑張ってね」としか言えなかったですね(笑)。それくらいにメジャーでも、彼は特別な選手になっているんです。

 彼の投手としての魅力は、やっぱり真っ直ぐの強さ、スピードですよね。160キロを投げられるって、なかなか日本人にはいないところです。

 技術的に見ていて思うのは、彼はオフに(シアトルにある練習施設の)ドライブラインで色々とデータをとってトレーニングをやっていますよね。そこでテークバックを小さくして、出力の出し方が腕を振るというより、押し込む感じになってきたように見えます。その結果、コントロールも安定しました。ただ足を上げて投げにいくときに、少し前に屈むように倒れることがあって、そのときにはあまり制球が定まらない。スプリットの落ちも悪くなるし、スライダーも引っ掛けやすくなる印象があります。それが倒れないで真っ直ぐ入っていけると、凄くいいなって思いました。

 投球全体では、今年は今まで以上により大胆なピッチングをするようになった印象があります。恐らくメジャーのバッターと対戦する中で、どこでどう曲げたらいいのかとか、そういったものを経験して会得してきた。それを背景に彼自身の中でメジャーの打者に対する感覚とか自信をつかんだことで、ああいう大胆さが出てきたのではないかと想像できます。

 そう考えると、これからさらに経験を積んでいけば、投手としてはもっと良くなる可能性を持っていると思いますね。

MLBで認められた長距離ヒッター

 バッターとしては……とにかく凄いというひとことに尽きますね。打球の速さ、インパクトの瞬間の音……メジャーリーグのパワーヒッターのスイングができる選手です。これまで日本人の打者としては松井(秀喜)さんがパワーヒッターとしてアメリカに行きましたけど、やっぱり中距離ヒッターという見方をされたじゃないですか。そういう意味で大谷くんは、メジャーリーガーが本当の長距離ヒッターとして認めた初めての日本人なんです。

【次ページ】 「引っ張り専門なら楽なんです。でも…」

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