令和の野球探訪BACK NUMBER
《センバツ》中学時代の恩師が喜ぶ“3人そろっての甲子園” 敦賀気比の絶対的エース・上加世田頼希(3年)が信頼する2人の存在とは?
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2022/02/01 17:01
センバツ出場を決めた敦賀気比を牽引する(左から)上加世田投手、岡村内野手、渡辺捕手。ともに門真ビックドリームス出身
エースとしてマウンドに立つ上加世田は、渡辺と岡村の存在の大きさを強く感じたという。2人が誰よりも声を出して背中を押してくれ、自分の調子にもすぐ気付いてくれるからだ。
「北信越大会の準々決勝で、岡村が“今日は頼希(上加世田)の調子が悪いから、なんとしても打線で早く楽にしようと言ってくれましたし、ナベ(渡辺)も“今日はこのボールが調子良いから押していこう”と引っ張ってくれました」
渡辺と岡村もまた、主将としてチームを牽引する上加世田に感謝の気持ちが強い。
「“エースで4番で主将”というプレッシャーに耐え抜いて引っ張ってくれます」(渡辺)
「人に強くモノを言うタイプじゃないからこそプレーで引っ張ってくれています」(岡村)
明治神宮大会では大阪桐蔭に敗戦
東哲平監督は「自分たちは弱いと分かっているチームなので目の色を変えて取り組んでいる」と話すように、今年のチームは雑草魂を感じさせる。北信越大会優勝後に出場した明治神宮大会では優勝した大阪桐蔭に4対8で逆転負け。渡辺が「体の大きさから何から全てにおいて負けていました」と振り返るように、チームに慢心は一切ない。
苦楽をともにしてきた3人で揃って出場する初めての甲子園。雪国で寒さと厳しい練習に耐え、ひたむきに鍛えてきたその成果を存分に発揮し、2015年春以来の全国制覇を目指す。