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《シルクロードS》香港スプリント2連覇に親子制覇…ロードカナロアが遺した“最強スプリンター伝説” 今年の短距離戦線も産駒に注目?
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKYODO
posted2022/01/29 17:00
2013年のスプリンターズSを制した際のロードカナロア
日本競馬史上初めてスプリンターとして年度代表馬に
「前年にも来て、場所慣れしたせいか妙に大人し過ぎる感じです」
現地入りしたディフェンディングチャンピオンについてそう語ったのは、毎朝その背に跨る安田翔伍調教助手。そこでレース4日前の最終追い切りのさじ加減に頭を悩ませた。
「本来は軽い追い切りにしてレースで『走りたい』という気持ちにさせようと思っていたのですが、あまりに大人しいのでもっと気合いを乗せるようにと考えを改めました」
こうして「最後だけビシッと追う」という手を打った。すると……。
「効果があったのか、だいぶガチッとハミを取ってくれるようになりました」
その効果は競馬へ行ってもてき面に現れた。前日の夜に現地入りし、レースで騎乗した岩田康誠騎手は次のように語った。
「最終コーナーから唸るように加速していきました。その時の手応えがあまりに凄まじかったし、これがラストランなので最後は突き放してやろうと考えました」
結果、2着に5馬身の差をつけ、独走のゴールイン。1200メートル戦における5馬身の差というのは完膚なきまでの差といっても過言ではないだろう。
この好走が認められ、日本競馬史上初めてスプリンターとして年度代表馬に選定されるのだが、独擅場となったその様を見ていた安田隆行調教師は「胸がドキドキした」と語り、更に続けた。
「ラストランを最高の形で締めくくる事が出来ました。将来的にはカナロアの仔で香港スプリントの親子制覇を成し遂げたいですね」
ロードカナロアが叶えた“夢のような”願い
夢のようなその願いは一昨年の2020年にかなえられる。ロードカナロア産駒で安田隆行調教師が育てたダノンスマッシュがなんと香港スプリントを優勝。父ロードカナロアとの父子制覇を達成してみせたのだ。
ちなみにこのダノンスマッシュは2019年にシルクロードSを勝っている。つまりシルクロードSも父子制覇を成し遂げていたのである。
そんな安田隆行調教師は今年もシルクロードSに管理馬を送り込む予定でいる。カレンモエとミッキーワイルドの2頭を登録しているが、いずれもロードカナロア産駒である。また同日に東京競馬場で行われる根岸S(GIII)には安田翔伍調教師のオメガレインボー(牡6歳、アイルハヴアナザー産駒)が出走予定。ロードカナロア産駒、そして安田親子の今週末に注目したい。