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《追悼》風間ルミさんが女子プロレスにもたらした自立心と“新鮮な驚き”「“3禁”ルール撤廃」「女子でも顔面キック」

posted2021/10/20 06:00

 
《追悼》風間ルミさんが女子プロレスにもたらした自立心と“新鮮な驚き”「“3禁”ルール撤廃」「女子でも顔面キック」<Number Web> photograph by AFLO

'93年11月、伝説の髪切りマッチ。風間の死を受けて、北斗(右)はブログで「あの瞬間の顔を思い出す」と追悼

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門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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 1980~'90年代、ジャパン女子プロレス、LLPWで大活躍した女子プロレスラー・風間ルミさん(本名・斉藤ルミエ)が、9月21日に亡くなった。55歳だった。

 死因は不明。事件性はなく、自宅で亡くなった。8月30日には、自身の公式ツイッターで子宮内膜症の痛みを告白している。我慢強く男勝りの彼女でも、病には勝てなかった。まだまだやりたいことが一杯あったろう。若すぎる。残念。

 女子では極めて珍しいシュートボクシング出身だ。'86年にジャパン女子プロレス入団。同期で柔道出身の神取忍との出世争いで頭角を現し、脚光を浴びた。ジャパン女子が解散する'92年に脱退し、同年7月に神取と新団体LLPWを設立。業界初の女社長に就任した行動派である。

 筆者が初めて彼女の試合を見たのは、'92年8月のLLPW旗揚げ興行での神取とのシングル戦だった。伸びのあるドロップキックが神取にヒットした。“おぅ! 女子でも顔面にドロップキックをやっていいんだ”と、新鮮な驚きを覚えたものだ。

 そして'93年11月9日、東京・駒沢体育館で行われた全日本女子との対抗戦における北斗晶との髪切りマッチは衝撃的だった。北斗に敗れ、風間は潔く丸刈りになった。その姿は、あまりにもショッキングだった。

男性、酒、タバコの“3禁”解除は、自立の表れだった

 周囲の女子選手たちは、いずれも160cm台。153cmと小柄な彼女は、逆に目立った。身体能力が高く、ガッツもある。私には“ゴムまりのように弾む女”に映った。アイドルとストロングの“2つの顔”を巧みに使い分けた、特異なキャラクターとしても忘れ難い。

 女子団体のトップらしく、男子レスラーとの交流もあった。三沢光晴(故人)、天龍源一郎らとお酒のテーブルを囲むことが多かったという。

 当時、多くの女子団体が男性、酒、タバコを生活ルールで禁じていた。いわゆる“3禁”時代である。しかし、LLPWでは「プロの大人なのだから」と“3禁”なし。自立を促す戦う女の集団として際立っていた。

 風間さんと親交のあった『週刊ゴング』元編集長の小佐野景浩氏が言うには「彼女の自慢は、社長として1回もファイトマネーの遅配がなかったことじゃないかな」。

 小柄な頑張り屋さんのご冥福をお祈り申し上げます。合掌――。

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